ユニバーサル・ピクチャーズは、公開予定だったホラー映画『The Hunt』公開をキャンセルすることを、トランプ大統領が「リベラルなハリウッド」を批判していると取られるような一連のツイートを投稿した翌日に発表した。エルパソ及びデイトンでの銃乱射事件を受け、ユニバーサルは、エリート達が労働者たちを娯楽として殺戮するという内容のこのスリラー作品のマーケティングを中止していたが、ツイートが投稿された翌日に、公開予定は完全に白紙であるという声明を出した[1]
「リベラルなハリウッドは、怒りと憎悪に燃えた最悪のレイシストだ!」「自分たちのことを『エリート』と呼びたがるが、彼らはエリートではない。公開される映画は、人々を煽って混乱を巻き起こすだけだ。自分たちで暴力を作っておきながら、他人のせいにする。彼らこそ真のレイシストで、我が国にとんでもない悪影響をもたらすだけだ!」と大統領はツイートしている[1]
The Hollywood Reporterによると、『The Hunt』のあらすじは次のようになる。ヒラリー・スワンクがリーダーを演じる、「エリート」として知られる裕福なアメリカ人からなるリベラルなグループが、「deplorables(惨めな人々)」と呼ぶ市民を誘拐し、娯楽のために彼らを狩る、という内容だ。IMDbのサイトでは次のように記載されている。12人の登場人物たちが空き地で目を覚ますが、「どこにいるのか、どうやってここにたどり着いたのかも分からない」「彼らは、自分たちが特殊な目的──狩り──のために選ばれたのだということを知らない」。このdeplorablesという言葉が最も知られるようになったのは、2016年の、大統領選に向けたヒラリー・クリントンのキャンペーンの中でのことだった。「トランプ支持者の半数は、私が惨めな人々の籠と呼ぶものに入れることができる」。そして、その籠に入っている人々は「レイシスト、セクシスト、ホモフォビック、外国人嫌悪、イスラム嫌悪──何でも」だと続けたのだ。[2]
『The Hunt』のプロデューサーであり、『ゲット・アウト』で成功をおさめ、デヴィッド・オイェロウォ主演のスリラー『Don’t Let Go』の公開を控える人気プロダクション、ブラムハウス・プロダクションの創設者であるJason Blumは、Vultureとのインタビューの中で、「将来、『The Hunt』の公開はあると思うか?」との問いに対し、「間違いなく望みはある。そう願っているよ」と答えている。[3]
[1]
https://www.rollingstone.com/movies/movie-news/universal-the-hunt-canceled-trump-870150/
[2]https://time.com/5650047/the-hunt-movie-canceled/
[3]https://www.vulture.com/2019/08/jason-blum-still-wants-to-release-the-hunt.html
画像:https://www.imdb.com/title/tt8244784/?ref_=fn_al_tt_1
佐藤更紗
国際基督教大学卒。映像業界を経て、現在はIT業界勤務。目下の目標は、「映画を観に外へ出る」。
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