5月16日(火)に、アメリカのジャーナリスト、ドキュメンタリー映画監督であるマイケル・ムーアが、トランプ大統領に関するドキュメンタリー映画を密かに製作していたことを明らかにした。
タイトルは『華氏119(原題:Fahrenheit 11/9)』。2004年に発表された、アメリカ同時多発テロ事件へのジョージ・W・ブッシュ政権の対応を批判する内容となった『華氏911』に続く作品となり、”119″は、トランプ氏が正式に大統領選へ選出された11月9日を意味している。

ムーアは「何を投げつけようと、彼には効かないし、何が明らかにされようと、彼は突っ立ったままだ。現実問題、頭脳で彼を負かすことはできない。たとえ自ら招いた痛手があろうと、翌朝目を覚ませば、何も変わらず、ツイートするだけ。それがこの映画の結末さ。」と語る。*1

選挙期間中、ヒラリー・クリントン候補を強く支持していたムーアだが、同時にトランプが当選することを予測していた数少ない1人でもある。
1999年に発生したコロンバイン高校銃乱射事件を題材とした『ボウリング・フォー・コロンバイン』で銃の危険性を訴える彼が指摘するのは、トランプの脅威に関する関心のなさだ。
以前も、「国に迫る日々の脅威に関するミーディングほど大統領にとって重要なものはないはずだが、20分間、賢い官僚が誰が今日、我々を殺そうと企んでいるか話すのを聞くなんて、トランプにとっては厄介、かつ面倒で仕方がないだろう。」といった内容を「ドナルド・トランプが我々を殺す」といったタイトルで自身のfacebookに投稿している。*2

また、『華氏911』に引き続き、プロデューサーを務めたワインスタイン兄弟はこう公言する。
「今、私たちにできる最善策は、マイケル・ムーアの力を大衆へと向けること。『華氏911』で彼と共に製作する機会に恵まれたとき、それが原因でディズニーと決別し、愛するミラマックス(ワインスタイン兄弟が設立した映画会社でウォルト・ディズニー・カンパニーの子会社)を手離さなくてはならなくても、粘り強くやり遂げたのは、作品のメッセージを強く信じたからだ。実際にあの映画が様々な記録を打ち破ったし、またそうするつもりでいる。今回の映画は今までで一番、革新的な配給プランになるだろう。マイケルの真実への探究心は今までになく残酷で、この革命に参加することに夢中なんだ。」*1

現在、撮影自体は完了しているものの、詳細はベールに包まれている。
現地時間で17日より開催されるカンヌ国際映画祭の会期中に、国内・国外での配給会社を探すことになるそうだ。
カンヌで上映された際には、20分間のスタンディングオベーションが続いたという『華氏911』。
今回の『華氏119』は、それに続く大作となるのだろうか?

参考
1.Michael Moore, Harvey Weinstein Reteam for Trump Documentary ‘Fahrenheit 11/9’
2.Michael Moore: Trump’s ignorance will ‘get a lot of innocent people killed’
3.Michael Moore filming Donald Trump documentary Fahrenheit 11/9
4.Michael Moore’s In-Secret ‘Fahrenheit 11/9’ Movie Acquired By Weinsteins

荒木 彩可
九州大学芸術工学府卒。現在はデザイン会社で働きながら、写真を撮ったり、tallguyshortgirlというブランドでTシャツを作ったりしています。


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