[486]オスカー、ルール変更によるアニメーション映画への影響とは


アカデミー賞の選考・授与などを行う映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)は毎年、授賞式終了後の約1ヶ月の間翌年のアカデミー賞に向け、あらゆる規則についての議論をし、必要によっては改正を行う。そして今回、来年開催される第90回アカデミー賞を前に、ドキュメンタリー部門においてパートに分けられる作品は応募資格が失われるなど、いくつかの変更点が提示された。

そのなかでもアニメーション部門での規則変更が大きな話題を呼んでいる。アカデミー長編アニメーション映画賞の候補作品選定への投票権が、アニメーション部門のアカデミー会員だけでなく、すべての部門の会員へと広げられることになり、さらに従来の数値ベースのスコアリングシステムは廃止されることとなるのだ。

これまでのアカデミー賞規則では、作品賞を除いては、各部門ごとにノミネート候補作品を選定し、その後アカデミー全体による投票が行われていた。各部門における専門家たちによって優れた作品が選ばれた上で、最終的にアカデミー全体で選定する、という仕組みであった。

しかし今回の変更後、アニメーション部門内のみでの選定がなくなり、作品賞のように、アカデミー会員全体での選定が行われることになる。IndieWireによれば、審査のために提出されたアニメーション映画の作品数は、2016年16作品から2017年27作品と1年間で68%増加しており、この増加傾向は続くと予想されての判断、とのことである。

しかしこの変更により、ノミネート作品の多様性、特に独立系の作品のノミネートに大きな影響を与えるのではないかという懸念が生まれている。

近年、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』や『父を探して』『レッドタートル ある島の物語』など数多くの独立作品、小規模な配給作品が、アカデミー賞にノミネートされ注目を浴びていた。『ズッキーニと呼ばれて(My Life as a Zucchini)』の独立系映画配給会社であるGKIDSは、ディズニーやピクサーなど大手スタジオに次ぎ、2009年以降9作品においてノミネートを獲得している。しかし選考方法の変更により、大手スタジオの作品がより大きな権力を持ち、このような独立系の作品や海外の作品のノミネートが難しくなることが予想される。

そんななか、GKIDSの創始者でありCEOであるEric Beckmanは、このルール変更についての見解を以下のように述べている。

「この変更によって小規模な作品が注目を集めるのをより難しく、コストのかかるものにするかもしれない。しかし、作品の質で勝ることを期待するよ。アニメーション部門において、小さな作品たちがノミネートされる結果をみて驚く人がいるかもしれない。でも、『ジェラシック・ワールド』ではなく、『ムーンライト』や『マンチェスター・オブ・ザ・シー』がノミネートされたとき、(大手作品ではなくインディペンド作品がノミネートされた点に関して)誰も驚いた人はいなかった。そのような視点で見れば、『レッドタートル ある島の物語』『かぐや姫の物語』(の受賞)も大きく意味を成しているだろう。私が望むのは、新しい規則のもとでも、これが続いていくことです。」

今後のアカデミー賞におけるアニメーション映画作品の評価の動向に注目したい。

参照
・http://www.oscars.org/news/awards-rules-approved-90th-oscarsr
・http://www.awn.com/news/academy-upsets-oscar-voting-rules-best-animated-feature
・http://www.hollywoodreporter.com/news/oscars-multi-part-docs-like-oj-made-america-no-longer-eligible-academy-consideration-992026
・http://www.indiewire.com/2017/04/new-oscar-rules-documentary-animation-academy-awards-1201803129/
・http://www.cartoonbrew.com/awards/oscar-rules-change-impact-indie-foreign-films-best-animated-feature-race-150099.html

三浦珠青
熊本出身、早稲田大学二年生。都内の映画館でアルバイトをしています。岡崎京子と映画と本が好き。


コメントを残す