『ある子供』、『少年と自転車』など映画祭受賞レース常連のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の最新作が日本にやってくる。
『サンドラの週末』(原題:deux jeurs, une nuit)は彼らの最新長編映画であり、最高傑作でもある。マリオン・コティヤール(彼女はその名声にも関わらず、ダルデンヌ兄弟の作品では長い間なんとも色気のない役ばかり演じている。)演じるサンドラは、工場の仕事を失う。夫の分まで働かなければならない彼女は、元同僚たち一人ひとりのもとに、彼らのボーナスをサンドラの給料に回すことで、また雇ってくれるように雇い主を説得してほしいと訪れて回る。かれらの反応は様々だが、なかなか首を縦に振る人は現れない。ある同僚はこう言う。「あなたが仕事に復帰してほしいとは思っているけど、そうすると私が生活できなくなるの」
こういったテーマの作品は、最終的に観客の同情を誘うことが多い。しかしそれに対してダルデンヌ兄弟は、観客にその解釈を任せている。寓話的で、いろいろな解釈が可能であり、道徳学の実験をしているようでもある。登場人物の生活の中に、依存や性的な不安が存在することを許容しており、最後には、確かな明らかにするわけではないもののそういった問題の存在を感じさせている。人物像を多面的に見せ、余韻をもたせて最後の解釈は観客に預けるというやり方が何ともダルデンヌ兄弟的であり、観客の興味を引くところである。
カンヌ映画祭に正式出品され、すでに数々の映画祭で受賞している。また、アカデミー賞外国語映画賞のベルギー代表にも選ばれており、オスカーの行方も注目である。日本での公開は、2015年5月。
則定彩香
横浜国立大/新文芸坐シネマテークゆるキャラのりさだちゃん。https://twitter.com/nnnorisada
参考
http://www.filmcomment.com/…/review-two-days-one-night-dard…


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