[373] イスラエルの世界最大級ドキュメンタリー映画の祭典


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5月19日からDocaviv国際ドキュメンタリー映画際がイスラエルで開催されている。
毎年5月にイスラエルのテルアビブで開催され、世界中そして本国イスラエルで制作されたドキュメンタリー映画総勢100本ほどを10日間かけて上映する、というかなり大規模な映画祭だ。過去の主催監督には、映画監督ミシェル・ゴンドリー(『エターナル・サンシャイン』やムード・インディゴ うたかたの日々)やプロデューサーのサイモン・チン(アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門受賞『シュガーマン 奇跡に愛された男』や同賞受賞『マン・オン・ワイヤー』)などがいる。(*1)

この映画祭を主催している「Docavi」はイスラエルの映画NPO団体。ドキュメンタリー映画を広めていくという理念のもと、1998年に創設された。活動として、より多くの人々にドキュメンタリー映画を届けるためにイベントや上映会を企画、若者たちの制作活動をサポートするためのワークショップなどを定期的に開き映画を広めるのと同時に教育にも力を入れている。(*1)

今年度の映画祭のテーマは『New World Disorder』(新世界における無秩序)となっており、テロリズム、難民問題、断片的な現代社会、そして全世界における格差問題などが大きなフォーカスとなっている。いま私たちが見るべきだが見えない、見たくない世界がそこにある。(*1, 2)

Docaviv国際ドキュメンタリー映画際には4つのコンペティション部門が設置されている。一番大きな注目を集めるのが、イスラエル部門だろう。現代のイスラエルに生きる人々たちの見た世界を自分のメッセージや体験とともに届ける、現地の人たちにとっては日常に潜む自分たちの思いや苦悩のあらわれ、そして外から見る私たちにとっては現実を見せてくれるという素晴らしいラインナップだ。

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Babylon Dreamers(イスラエル部門)
かつてのソ連からの移民である若者たちが、ブレイクダンス国際大会に挑もうとしている。しかし彼らそれぞれの家庭を取り巻く問題の壁は高く、生活を支えるために働き、なかなか思うように練習ができない。そんな現実と真正面からぶつかりながらも、踊り続ける姿を映す。(*3)
Director, Editing & Cinematography: Roman Shumunov

他にも学生部門、国際部門など幅広い年代と世界から様々なジャンルの作品を取り扱う。The Depth of Field部門では、いままでにない全く新しい形で語りかけるドキュメンタリー、誰も描こうとしなかった世界へと踏み込んでいく作品を取り上げる。独特でインパクトのある作品の数々が見られることだろう。

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Love True(The Depth of Field部門)
世界的に活躍するイスラエスル出身のドキュメンタリー映画監督Alma Har’elによる、3組の複雑なラブストリーが主題。ファンタジーと現実が入り混じる彼女の独特の手法、昔のビデオ映像を用いて過去の記憶が現在の主人公たちの価値観にどのような影響を与えているか、巧みに描き出す。ドキュメンタリーと映像の世界を極限までに使いこなして織り成される不思議な物語。(*4)
Director & Cinematography: Alma Har’el

5月28日までの開催となっており、コンペティション部門以外にもアート、マスターズ(世界を代表するドキュメンタリー作品)、音楽、短編、などの幅広いジャンルを上映している。(*1)

ドキュメンタリー映画に特化したここまで大きい映画祭はそうないだろう。現実を様々な角度から見ていくということがいままで以上に重要になってくる現代においてもっと注目していきたい映画イベントだ。

*1 http://www.docaviv.co.il/org-en/

*2 http://www.jpost.com/Israel-News/Culture/This-months-Docaviv-Film-Festival-to-focus-on-the-New-World-Disorder-452804

*3 http://www.docaviv.co.il/2016-en/films/babylon-dreamers/

*4 http://www.docaviv.co.il/2016-en/films/lovetrue/

mugiho
大学さようなら、南極に近い国で料理を学び始めた二十歳です。日々好奇心を糧に生きている。映画・読むこと書くこと・音楽と共に在り続けること、それは自由のある世界だと思います。


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