昨年公開され、日本でも11月に公開されることが決まっている、リチャードリンクレイター監督の新作『6才のボクが、大人になるまで(原題:boyhood)』は、各地で高い評価を得ている。これに対して、こう言う人がいる。「ボーイフッドは良かったけど、ガールフッドはどうなの?」
それも、ボーイフッドに続き、ガールフッド的映画がごく近い時期にお披露目されたのである。今年のNew York Film Festivalでは、アーシア・アルジェントの『Misunderstood (原題: Incompresa)』、それからアリーチェ・ロルヴァケル『The Wonder(原題: Le Meraviglie)』という2本のイタリア人女性による映画が出品された。この2本はまさに、思春期か大人になりたての少女たちの成長を描いており、非常に魅力的な、まさにガールフッド的映画である。
アーシア・アルジェントの『Misunderstood』は、彼女が女優から映画監督になって3本目の長編。アルジェントはこの作品を「この作品は伝記的ではないが、子ども一般を現実的なものとして扱った妄想の産物で、むしろこれはフィクションなのだ」と主張しており、混とんとしたパンク・ロック・ミュージックとクレヨンパレットで彼女の作家性が刻み込まれている。この作品はどこか控えめで、長尺の作品ではないし、入念に作りこまれているということもないが、圧倒的とも堪えがたいともいえる姉妹の感情の描写が上手く、よくまとめられている。
もう一本の「The Wonder」カンヌでグランプリを獲得した。アリーチェ・ロルヴァケルの3本目の作品で、養蜂家に生まれた少女の家族との関係がどっしりと描かれている。それまで外から影響を受け、閉ざされていた彼女の世界が開かれていくのが、リアルに描写されている。派手な展開はないが、静かで考察のしがいのある作品である。
言うまでもなく、女性の視点が中核をなす作品は明らかに不足している。前述の2本の映画は映画祭に出品されたけれど、未だメインの賞レースに入ることは多くない。そこには多くのハードルが存在するが、足りないのは女性の視点や女性監督のオリジナリティを論じるということなのではないか。女性が映画を撮ることができないのは、ジェンダーに支配されているという理由だけではない。女性中心の視点で描かれた良質の映画が、われわれ観客の側から、もっと熱烈に求められるべきなのではないか。
則定彩香
http://blogs.indiewire.com/…/boyhoods-great-now-what-about-…
Misunderstood trailer

The Wonder trailer


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