1979年2月、ホメイニー率いるイスラム教法学者と国民によるイラン革命が勃発しました。革命間もないイランが直面したのは、1980年9月22日から1988年8月20日まで8年間続いたイランイラク戦争でした。
そしていまだに落ち着きを見せないイラン国内外情勢ですが、近年のイラン国際問題といったら原子力発電所問題を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。イラン南西部郊外ブーシェフルに位置するブーシェフル原子力発電所はイラン革命前パフラヴィー政権により1974年にドイツ企業シーメンスの協力で建設が進みましたが、革命後の現在、ロシア政府の協力のもと建設が行われています。
ここではイランの原子力発電所問題に関しては深入りせずに、ブーシェフルそして原子力発電所周辺が舞台の日本未公開イラン映画を紹介します。
エッサン・アブディープール監督による2014年最新作『独りぼっち』はブーシェフル原子力発電所周辺の村に住む現地の少年とロシア人の少年の友情とその背景で刻々と変化する政治的状況が描かれています。現地の少年は家庭を支えるため魚を売って生活をしている一方で、ロシアの少年は比較的裕福で恵まれた生活を送っています。この二人の少年が、ブーシェフルが抱える貧富の差そして文化差を見事に表していると共に、大人が忘れてしまったロマンによってつながった少年の友情は、大人が立ち戻らなければならない本質を教えてくれます。
“国連の目の前に駄菓子屋を開くんだ、”プレジデント”って名前のね。お得な値段で駄菓子を売るんだ、そしたら大統領たちは喜んで僕から買うよ。・・・もし世界中の大統領が僕たちと一緒に三日間過ごしたら、、、、熱いなか氷売りをしたら、30年前の戦争の傷を負った僕たちをみたら、、、、雨漏りに困る僕たちの家を見たら、もう彼らは爆弾で僕たちの屋根に穴を空けることはないよね”(ブーシェフルの少年のセリフ一部)
『独りぼっち』は、8月8日(Fri.)イラン大使館主催の“イラン 平和と友好の映画祭”にて上映されます。映画祭は金曜日と土曜日(8月8日・9日)二日間に渡り開催され、他にも日本未公開作品が4作上映されます。また全5作品の内4作品の監督そして1作品の主演俳優が来日、登壇されますのでこの貴重な機会、お時間のあるかたは是非ご参加ください。
5作品全て、近年制作された比較的新しい作品ですが、多くがイランイラク戦争の兵士やその家族を描いた作品です。革命から35年経った現在も革命そして戦争の記憶が忘れられることはないのでしょう。中東情勢が刻々と悪化する中、戦争そして平和について考える良い機会ではないでしょうか。
『独りぼっち』をご覧になる前に、イラン革命直後公開のアミール・ナデリ監督『駆ける少年』をご覧になることをお勧めします。
『駆ける少年』は1970年代初頭のイラン南部郊外に住む孤児が生活のために靴磨きや水売りを通して直面する外国人との貧富・文化差、そして少年の成長への奮闘を描いてます。『駆ける少年』そして『独りぼっち』を通して、革命前後で変わらないイラン国民が抱える根本的な問題とは何であるのか気づかされる様に思います。
★日本では西島秀俊さん主演映画『CUT』で知られるアミール・ナデリ監督ですが、また西島・ナデリコンビで新作を撮る予定があるそうです!
“イラン 平和と友好の映画祭”参加ご希望の方はcultural@iranembassyjp.orgにメールしてください。
スケジュールに関しては写真を参照してください。
参加費は、無料です。
開催場所:東京都港区赤坂区民ホール
『独りぼっち』:http://youtu.be/_nLVtiCZsjM
※URLはペルシャ語による本編です。
『駆ける少年』:http://runner-movie.net/
by Sevin
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