2011年『ドライヴ』でカンヌ国際映画祭コンペティション部門で監督賞を受賞し、2013年『オンリー・ゴッド』では『ドライヴ』でも主演を務めた二枚目俳優ライアン・ゴズリングの顔を叩きのめし、出演を果たしたドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』ではその独善的な感覚で『DUNE』をひた語り…と、異才を放ち続ける監督ニコラス・ウィンディング・レフン。Indiewireに掲載されたあるYouTubeユーザーがアップした動画を見れば、色覚障害をもつ彼の作品の世界観がどことなく理解できる。(*1)

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「僕は色盲で、中間色が見えない。だから僕の作品は、はっきりとしたコントラストなんだ。まるで僕が何も見えていないかのように」。動画の中ではレフンの言葉とともに、彼の過去作品が取り上げられる。その言葉通り『ブロンソン』『オンリー・ゴッド』のような作品では、異常なまでにハイコントラストな視覚的外観を確認できる。さらには、レフン作品のもつ、究極的な道徳への関心、愛情と激しい暴力の衝突、沈黙と騒音…といった一貫したテーマも、彼の視覚障害ゆえだと理解できるかもしれない。

2016年公開予定の『The Neon Demons(原題)』を撮影中のレフンだが、次作は東京を舞台にしたスパイ映画『The Avenging Silence(原題)』を構想中だとのこと。(*2)

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数年前、レフンはインタビューで「『ヴァルハラ・ライジング』でワン・アイ役だったマッツ・ミケルセンを、彼のキャラクターの原点に回帰させて撮りたい」、「そして次作は東京で撮る」と答えている。マッツ・ミケルセン主役の『ヴァルハラ・ライジング』続編でありながらスパイ映画、舞台は東京——余りにも突飛な設定に想像不可能だが、レフンは次のようにも答えている。「次作には、僕の過去作品に出たキャラクターが登場するよ。『ヴァルハラ・ライジング』のマッツ、『ドライヴ』のライアン、『オンリー・ゴッド』のVithaya、彼らのような登場人物で次作を撮りたいんだ」。

マッツ・ミケルセンやスパイ映画といった要素にもちろん期待が高まるが、レフン特有のコントラストな世界観に都市・東京はどのように映るのか、どう切り取られるのかが、非常に気になるところである。東京での撮影が実現することを願いつつ、続報を待ちたい。

*1

http://blogs.indiewire.com/pressplay/watch-how-does-nicolas-winding-refns-colorblindness-shape-his-films-20150609

*2

http://www.firstshowing.net/2015/nicolas-winding-refn-hints-that-his-next-film-might-be-set-in-tokyo/

内山ありさ World News部門担当。1991年生まれ、広島出身、早稲田大学卒。学生時代は東京国際映画祭の学生応援団として六本木を奔走。この春より映画配給会社勤務。特技は80年代洋楽イントロクイズ。


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