25年振りとなる2016年に続編が決定され、話題を呼んでいた人気TVシリーズ『ツイン・ピークス』から、製作のデヴィッド・リンチが降板したことが明らかになった。5日、リンチが自身のTwitterで明かした。ケーブルテレビ局Showtimeから、脚本を実現するのに十分な予算が下りなかったことが原因とのことである。

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 『ツイン・ピークス』は1990年から翌年にかけ放映され、本国アメリカ、日本のみならず、世界中に熱狂的なファンを呼び起こしたTVドラマシリーズ。昨年10月3日、リンチは自身のTwitterで「君の好きだったガムが、また流行るよ!」と突然ツイート。また同月6日には、再びTwitterで「it is happening again(また起こっているよ)」の文章とともに以下の予告編を投稿。予告編には、死んでしまった本作ヒロインのローラ・パーマーの姿、「ツイン・ピークスへようこそ」と書かれた看板、放送テレビ局Showtimeのロゴ、そして「2016年」の日付が現れる。ちなみに、ガムは本作でキーパーソンを担うクーパー捜査官がよく食べていたお菓子であり、ツイート末尾に書かれたハッシュタグ「#damngoodcoffee」は、クーパー捜査官がコーヒーを飲む時の口癖である。

 

Twin Peaks | Coming to Showtime in 2016

https://www.youtube.com/watch?v=nNHsA4WIFvc

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 世界的に社会現象にもなったカルトドラマ・シリーズ『ツイン・ピークス』。リンチは今回の続編でマーク・フロストとともに全9エピソードを手掛ける予定だった。人気シリーズの25年振りの復活にファンたちが歓喜していたのも束の間、発表から半年も経たない4月5日、リンチは

「1年4カ月の交渉の結果、自分が必要だと考える脚本制作の資金が得られなかったため、降板することにした」

「今週末から俳優たちに降板の件を伝え始めたところ。『ツイン・ピークス』はそれでもShowtimeで生き続けるだろう」

「『ツイン・ピークス』の世界を愛しているんだ、だからこそ僕が降板した『ツイン・ピークス』が異なったようにはたらくことを願うよ」

とTwitterで発表。投稿の内容から、リンチはShowtime側に憤りを感じているというよりは、資金面で折り合いがつけられなかったと感じているようで、降板後の『ツイン・ピークス』に期待もしている様子である。

 

 しかしファンの落胆は尋常ではなく、投稿は拡散されコメントが殺到。さらには驚くことに、『ツイン・ピークス』のキャストたちまでもがリンチの製作復帰を願うメッセージ動画をYouTubeにアップした。

 

Twin Peaks without David Lynch is like..?

https://www.youtube.com/watch?v=BO934i9uO1c

 

「デヴィッド・リンチの存在しない『ツイン・ピークス』は犬のいない公園!」

「デヴィッド・リンチの存在しない『ツイン・ピークス』はチェリーのないパイ!」などと、ローラ・パーマー役のシェリル・リー、オードリー・ホーン役のシェリリン・フェン、シェリー・ジョンソン役のメッチェン・アミック、ノーマ・ジェニングス役のペギー・リプトン、ジェームズ・ハーリー役のジェームズ・マーシャルらキャストが登場し、リンチの復活を願い各々コメントを残している。

 

 また、リンチ自身による降板のツイートを受け、Showtimeは「リンチとの契約に関してまだ調整する構えだった」との声明を出した(*2)。ファン、そしてキャストの復活を願う声が、リンチに予算条件を飲ませる追い風になるだろうか、期待どころである。

 

 

*1 Twitter

https://twitter.com/DAVID_LYNCH

 

*2 Showtime: Trying To Resolve David Lynch “Twin Peaks” Contract Issues – Update

http://deadline.com/2015/04/david-lynch-twin-peaks-directing-showtime-1201404765/

 

内山ありさ
World News部門担当。広島出身、早稲田大学政治経済学部5年。第26・27回東京国際映画祭学生応援団。特技はおじさんと仲良くなること、80年代洋楽イントロクイズ。今春から某映画会社就職予定だが、心はインディー。


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