来る11月8日の大統領選挙が日本でもあらゆるところで話題になっていますが、アメリカ映画界でもたくさんの人がコメントを寄せています。IndieWireがアメリカの映画人たちの選挙に対する態度をまとめた記事を発表しているので一部紹介します。

 マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画、“Michael Moora in Trumpland”が、11月8日に行われる米大統領選でヒラリー・クリントンに投票するよう人々に促すものであったことは、驚くことではない。ムーア監督は、同世代の中で最も能弁で、政治に積極的な映画監督の一人で、選挙討論のほとんどが消極意見に支配されていると感じていた。「私はただ、ここで何か行動を起こしてクリントンへの投票を考える積極的な理由を提示しようと思っただけである」と、10月のニューヨークプレミアで語った。「トランプが狂っていて危険でサイコパスで社会病質者だと噂するようなことはこの国に必要ない。なぜなら彼自身が自らの醜さを表す映画をすでに作っているからだ。しかもそれは毎日のように上映されている」。

 多くの映画監督は自らの政治的見解をより個人的なものに留めているものの、クリントンへの支持を様々な公開討論の場で表明している(スティーヴン・スピルバーグはクリントンのサポーターであると公表してはいないが、彼女のキャンペーン運動に100万ドルの寄付をしたと報じられている)。
以下、他の映画監督らが公表したトランプ批判、クリントンへの支持を見ていこう。

ジャド・アパトー
 彼は9月にクリントンに投票するとツイートしている。さらにIndieWire宛の最近のメールではトランプを非難し、彼は自分以外の誰のことも考えていないと付け加えた。「彼は人助けにはまるで関心がない。彼はただの権力への強い欲望を持つ暇を持て余した金持ち男である。彼は生涯で他人のためのチャリティーに興味を示したことは一度もない。私は、彼が突然覚醒し、私たち労働者階級を気にかけるようになるとは思えない。彼はいつも進んで搾り取れるだけのお金を取ろうとする、人種差別主義者で自己陶酔的な犯罪者だ。彼が徹底的に打ちのめされることを望む」。

ペドロ・アルモドバル
 ニューヨーク映画祭での記者会見で、クリントンについて思うことを質問された。というのも、彼の映画のほとんどが、強い女性をめぐるものであるからだ。アルモドバルは「私は非常に驚いています。なぜなら10〜15年前はヒラリーがアメリカの大統領になることを祈るような瞬間が訪れるなんて考えられなかったからです」と語り、クリントンが彼の映画の登場人物になりうるほどの強い女性であることを認めた。

ジョージ・クルーニー
 彼は今年の4月にクリントンへの資金集めをする以前にメールにて、「クリントンは国際関係の複雑さをじかに感じている唯一の候補者である」と公表している。その後クルーニーは『マネー・モンスター』のためにカンヌ国際映画祭に出席し、この映画がトランプ政権に支配されることを警告するものとなりうると思うかどうかを尋ねられた際に、トランプの負けを予言した。「ドナルド・トランプが大統領にはならないでしょう。恐怖は私たちの国を追い立てるものにはならないでしょう。わたしたちはイスラム教徒や移民、女性に怯えることなどないでしょう」。

デヴィッド・ロウリー
 IndieWireに宛てたメールで、「私はヒラリーに投票します。なぜなら、多くの点で彼女に賛成しているからです。しかしそれ以上に、他の気取った候補者や彼らの政策にうんざりしているからなのです」と語った。

クエンティン・タランティーノ
「ヒラリー・クリントンがチャーリー・ローズのようにどっかり座って政治問題について深く話しているのを聴いてみるといい。この人こそ私が大統領にしたい人だと思うでしょう」。

ルイ・C・K
 「(クリントンは)二つの害悪を比べてましな方というわけではない。彼女は才能があって、非常に賢い。私は彼女を誰よりも高いところに連れて行くつもりだ」と述べている。

ベン・アフレック
 クリントンのキャンペーン運動に寄付した他、トランプは大統領になりえないだろうと語っている。

エリザベス・バンクス
 彼女はペンシルバニアで行われたイベントで、クリントンと子育てのしやすい社会作りや有給家族休暇など、どう子どもや家族を支援していくかについて話した。

マイケル・ショウアルター
 3月にクリントンへの支持をTwitterで発表している。

キャサリン・ハードウィック
 同じく3月に「ドリームチケット」と称してクリントンとミシェル・オバマを並べた画像を広めた。
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ボブキャット・ゴールドスウェイト
 クリントンに投票することについてのIndieWireのインタビューで、「ましな方に投票するわけではありません。ファシストと比較して有能である」と語った。

レナ・ダナム
 彼女は昨年からクリントンの支持者で、インスタグラムで「これは私が送った『どこまでもあなたに着いていくわ』というメッセージを読んでいるヒラリーです」というコメントとハッシュタグ#mypresidentを付けて投稿している。
https://www.instagram.com/p/1YyRRgi1GC/

J・J・エイブラムス
 2月に、「私たちはヒラリーを支持しています。わたしは彼女が最強の候補者だと信じています。彼女には経験と政策がある。思いやりがあって真っすぐだ。援助が必要な人に手を差し伸べるのが彼女であると信じています」と語った。

エイミー・サイメッツ
 IndieWireに宛てたメールで「私は、アメリカが経済的に成功してなおかつその他の世界の人々から嫌われないために聖人のような人物がやって来て資力を与えてくれたらいいと思います。その時が訪れるまで…私は初の女性大統領に投票します。人種差別主義の自己陶酔家に、私の友だちであるイスラム教徒や黒人、ゲイ、メキシコ人、貧困者、女性を追放する者に、世界の笑い者になることに対抗して」と述べた。

マット・デイモン
 彼は多くの理由からヒラリー・クリントンを支持している。理由の一つは彼女が水や公衆衛生を気にかけていることだ。「彼女は多くの角度からそのことを理解している。国の安全の問題として、人権の問題として、女性と女の子に関わる問題として」。

ロン・ハワード
 トランプの強制わいせつ罪についてTwitterで注意を喚起した。

ジョス・ウィードン
 クリントンに投票するよう人々に勧めている有名人らの長いリストを発表した。

ショーン・ペン
 バーニー・サンダースが優れていることを述べた上で、クリントンに投票することを宣言した。選挙に際し、あまりに多くのアメリカ人が関心を寄せていないことを言い添えている。

トム・ハンクス
 クリントンがアメリカ大統領としてとてもとても適任であると語った。

ダックス・シェパード
 IndieWireに宛てたメールで、「私には強い母と強い妻がいます。有能で勤勉な女性たちに夢中になり、さらなる女性の貢献によって世界に利益がもたらされるだろうと考えるようになりました。もしかするとヒラリーこそが最も適任なのではないでしょうか。彼女が女性である事実を喜ばしく感じます」と語った。

ローズ・マッゴーワン
 10月に雑誌の記事で「クリントン以上の適任はいません。憎悪に直面したときの彼女の真価、倫理、勇敢さには驚くばかりです。女嫌いの男の前に現れる彼女のパワーは語り継がれるべきものです」とコメントしている。

ロバート・デ・ニーロ
 2015年に 「彼女は今までに多くの徳を積んできて、ついに国のトップになる権利を得た。何も驚くことはない。簡単なことです。彼女が女性であるということは非常に重要なこと。なぜなら彼女が引き受けているものは、我々が今まさに必要としているものだからだ」とコメントを寄せた。

レイク・ベル
 Twitter(引用リツイートを含む)上で繰り返しクリントンへの支持を表明してきた。

レオナルド・ディカプリオ
 ジャスティン・ティンバーレイクとジェシカ・ビールの家で開かれたクリントンのための寄付はもともと彼のロサンゼルスの家で開かれる予定であった。

ポール・シュレイダー
 IndieWire宛のメールで、「私はヒラリー・クリントンに投票するつもりです。なぜならアメリカが試行してきた民主主義を諦めるべきではないからです」と述べた。

IndieWire全体や記者個人のクリントン崇拝が大いに現れていることは否めませんが、これだけ並べられたものを完全に無視することもできません。映画人たちの選挙に対する見解リストとして大いに参考にできる記事ではないでしょうか。本文で紹介したエリザベス・バンクスが出席したイベントとジョス・ウィードンの著名人リストの動画、実際に映画人らがSNSに投稿した記事も載っているので興味がある方はこちらを覗いてみてください。

http://www.indiewire.com/2016/11/filmmakers-endorsing-hillary-clinton-george-clooney-sean-penn-lake-bell-1201742625/

原山果歩 World News部門担当。横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程所属。ロメールのバカンスに憧れる。


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