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Pantheon of Womenをスポンサーに制作された『I Dream Too Much』の上映会が全米各地で開催されています。今作品は今年3月のサウス・バイ・サウス・ウエストでプレミア上映され、そこで女性を主人公にした新しい形のカミング・オブ・エイジ・ストーリー(成長物語)であると評されました。その後映画祭や上映会を通して公開されています。

主人公のドーラは大学を卒業し、将来の道に迷っている時に運良く(?)一人で暮らしている大叔母が怪我をしてしまい、介護をするというのを口実に彼女の家に転がり込みます。反発しながらも友人や家族、そしてお互いとの関わり合いを通してどのように生きていきたいのかということを考え、自分の道を見つけていくという3世代にわたる女性のカミング・オブ・エイジ・ストーリーです。

サウス・バイ・サウス・ウエストとは毎年3月にアメリカのテキサス州で開催される、映画やアート、音楽イベントなどを含めた芸術の祭典です。映画部門はテキサス州の高校生からの部門やコメディ、ミュージックビデオと幅広いジャンルと才能をカバーした新しい形の映画祭となっています。(*1) また、今作品がスポンサーとして掲げているPantheon of Womenは女性の声にフォーカスするというコンセプトを持った新しいメディアプロダクションの会社です。多様な女性たちからの視点や声を届けるために映画やメディアという影響力を持った媒体を選んでいます。物語を語るというものに含まれる強い力を少しでもいい方向へと使っていきたいと考えています。(*2)

『I Dream Too Much』はエディン・ブローリン(『グーニーズ』『ミルク』のジョシュ・ブローリンの娘)の初主演作となり、また監督のKatie Cokinosの初長編作となります。共演しているダニエル・ブルックスはアメリカのテレビドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』で人気を得ています。大叔母には『アリスの恋』や『ワイルド・アット・ハート』で三度アカデミー賞にノミネートされているダイアン・ラッド。そしてエグゼクティブ・プロデューサーに『6才のボクが、大人になるまで。』監督のリチャード・リンクレイターという豪華なラインアップになっています。(*3)

ケイティはインタビューで今作品のテーマや自分がなぜこの作品を撮ろうと思ったのか、制作の過程などについてこう語っています。

『I Dream Too Much』はどのような作品ですか?
主人公のドーラは大学卒業と同時に親友とブラジルに旅行に行きたいのですが、代わりに母親から大学院入試の本を手渡され、法学大学院へ進むという将来を突きつけられます。そこで転がり込んだ大叔母ヴェラの元で暮らし始めます。何もかもうまくいかなくなった時、ある日ドーラはクローゼットのそこにヴェラの日記帳を見つけ読み始めます。

これは若くて夢にインスパイアされ、人生に理想を掲げることと同時にそれをどうやって達成していけばいいのかということがさっぱりわからないということについてです。私たち誰もがいつかは対面する未知の世界です。私自身、大学卒業後に法学大学院へ進む予定でしたが、大学にいる間に映画に対する情熱が出てきてしまい、どうしていいのか全くわかりませんでした。この作品は、その渦中にいながら少しずつ自分の声に耳を傾けていき、そこから自分は何なのかというものを見つけていく過程を描いたものだと思います。恐怖や家族や周りの圧力によって動かされるのではなく、自分の想像や理想によって進んでいくということを言いたかったのです。(*4)

なぜこの作品を撮ろうと思ったのですか?
様々な理由があります。でも一番大きな理由となったのは、カミング・オブ・エイジ・ストーリーが作りたかったから。でも私の14歳の娘は『トワイライト』に全然はまらないタイプで、どちらかというと『ギルモア・ガールズ』なんかが好きだったからそれはいつも頭にありました。自分の娘が観てくれる作品をつくりたいと思いました。あとは自分が住んでいるソーガティズ、アップステート・ニューヨークで撮りたかったというのもあります。雪がとても好きだから、それも含めたかった。そんな風に連想ゲームみたいにどんどん自分の好きなものや希望を描き、そしてそれに質問投げかけ、それで毎日5 時間くらいかけて脚本を書いていきました。未だに題名の意味はよくわかっていないけど。夢を見すぎるということはないと思います。

撮影のスケジュールはどのような感じでしたか?
週に6日間、3週間で撮りました。それに加えて1週間キャストを選ぶ期間がありました。毎日脚本5ページ分くらいの撮影をして、その間に二度も吹雪に遭いました。私の夫が今作の撮影監督だったということもとてもこんなに早く撮影できた理由の一つだと思います。彼は私と同じくらいに脚本をよく理解していたから、二人で話して現場に着く頃にはどんな風にしたいかということが決まっていました。私も即興や変化に対してはオープンでした。

リチャード・リンクレイターがエグゼクティブ・プロデューサーだったのはどうでしたか?
最高でした。制作の初期の段階で脚本を送ったらとても気に入ってくれて、彼は今まで特にプロデューサーなどとして活動したことはなかったけど何らかの形でこの作品と関わりたいと言ってくれました。結局今作品が完成するまで下書きを読んだりストーリーの展開なんかについて話し合ったりと最後まで関わってくれました。(*5)

この作品から何を得てほしいですか。
みんなに観ながら笑顔になってほしいです。そして自分の内に秘めている情熱と少しでも向き合ってくれる人が増えてくれることを願っています。夢を見過ぎるということなんてないのですから。(*4)

監督にインタビューやメッセージからは自分の夢や好きなこと、それを表に引っ張り上げてくれるような、希望を与えてくれるようです。

I Dream Too Much

*1 http://www.sxsw.com/

*2 http://pantheonofwomen.com/

*3 http://www.imdb.com/title/tt3474978/

*4 http://www.indiewire.com/article/meet-the-2015-sxsw-filmmakers-11-katie-cokinoss-i-dream-too-much-is-driven-by-romantic-notions-20150315

*5 http://wegotthiscovered.com/movies/exclusive-interview-eden-brolin-katie-cokinos-danielle-brooks-dream/

mugiho
早稲田大学在学中。
日本国内を南から北へ、そして南半球の国を行き来していまはとりあえず東京に落ち着いています。ただただ映画・活字・音楽・書くことが好きな人間です。物語を語るということが好きなものにすべて共通していて映画もそこに一番惹かれます。知識などもなくまだまだ学ぶことがたくさんありますが自分なりの映画の見方を持ちながらどんどん学んでいきたいです。好奇心旺盛で飽き性な人間で集中力が乏しいのがいまの課題。最近、短編を書き始めました。


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