[288]アンジェリーナ・ジョリー監督「アンブロークン」日本公開を巡って


みなさま夜遅くにこんばんは!

昨日はバックトゥーザフューチャーの日でしたね。映画サイトとしてはこの話題を取り上げない訳にはいかない!と思ってそのことを書くつもりでしたが、これは既に日本のメディアでも取り上げられているので…世界中で015.10.21を祝って様々なイベントが行われたこと、映画の中の2015年と現在の比較などが各紙面を賑わせていたことだけをお伝えしておきます。主演のマイケル・J・フォックスは「この映画を作っている当初、こんなにも長い間世界に愛される作品になるとは思っていなかった。こんな繋がりを体験できることは滅多にできる経験ではない」とコメントしていました。文化や世代が違っても、一つの映画体験を通して友人になれる、ということはとても素敵なことですよね。

さて、本題です。

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昨年全米をはじめに世界で公開されたアンジェリーナ・ジョリー監督作品『アンブロークン』が、2016年2月、遂に日本でも公開されると正式発表されました。既に日本のメディアでも報じられていますが、このニュースを世界ではどのように伝えているのでしょうか。

VarietyやGuardianなど各紙の映画欄でも高いアクセス数を得ていることから注目度の高さを伺うことができますが、そこで沸き起こっている議論と共に、お届け致します。

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第二次世界大戦において年間日本軍の捕虜となり、収容所での酷い虐待に耐え抜いたオリンピックメダリスト、ルイス・ザッペリーニの半生を描いた本作は、「シービスケット」の著者でもあるローラ・ヒレンブラントのベストセラー原作の映画化である。

この作品に対して日本では極右勢力からの猛烈な反対運動あり、通常ユニバーサル制作映画の配給を務める東宝東和は半永久的に日本公開を延期していた。しかしこの度新たな配給元、ビターズ・エンドが現れた。制作当初の予定に比べると規模を大幅縮小する形となるが、渋谷のシアター・イメージフォーラムにて単館公開となる。

反対運動の中心はネット右翼と呼ばれる人々で、彼らは特に決まった団体に属している訳ではなく、主に2ちゃんねると呼ばれるネット掲示板において自らの主張を述べる。
「とても信じることの出来ぬ行為の描写がこの映画を半日映画としている」「アンジェリーナは日本にきては笑顔を振りまき、『日本を愛しているわ!』などとコメントするが、国に帰れば事実に反する反日映画を作っている」などのコメントが寄せられていた。

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「私は批判を恐れてはいない。これは美しいメッセージを持った美しい映画だ。私たちは戦争のすべての面を描こうとした。東京大空襲のことも…。しかしこれはルイスの半生を描いた映画だ。彼は捕虜として悲惨な時を過ごし、私たちはそこに敬意を表したかった」日本公開にあたり、ジョリーはこう語る。

日本の極右勢力による批判で上映が危ぶまれた映画は他にもある。アカデミードキュメンタリー賞受賞の「ザ・コーヴ」、和歌山県太地町で年に一回行われる「イルカ虐殺」(Guardian紙、原文直訳)を描いた作品である。この作品は、後にメディアや日本映画監督協会から挙がった配給を求める声に応え、公開が決定、言論の自由が守られたことになる。

この作品については、製作者と太地町側それぞれの主張、言い分があり、海外でも否定派、中立派、賛同派、と様々な意見が挙がり物議を醸している。名古屋と京都における劇場公開では、「イルカ漁」について「ザ・コーヴ」とは異なる視点があることを掲示する為、日本の捕鯨の記録映画「鯨捕りの海」を同時公開し、また2015年モントリオール国際映画祭で話題となった八木景子監督「Behind’ THE COVE”(コーヴの裏側)」を筆頭に、この作品から影響を受け、しかし異なる視点から制作された映画も存在する。

ビターズ・エンドから「アンブロークン」配給の正式発表があったのは木曜日、東京国際映画祭の初日である。くしくも2009年、「ザ・コーヴ」公開に向けた醜い論争が起こった場所と同じである。

このニュースに対してサイトには沢山のコメントが寄せられ、言論の自由から歴史観まで様々な議論が行われている。

「言論の自由を認めるいい動きだ。しかしベトナムやイラク戦争の真実を描いた映画がアメリカで公開されるのはいつだろう?」
「どうしてこの映画が差別映画になるのだろう?日本は戦争当時に捕虜に対して残虐なことをしたことは事実であり、その事実から目を背ける限り同じ過ちを繰り返す」
「日本人は自国の悪い歴史を教えられていない。真実に向き合うことをしない。」
「歴史は勝者によって勝者に都合の良いように書かれていることを忘れてはならない」
「日本が戦争捕虜にしたことは酷いことかもしれないが、日本が戦争をしなければいけない状況に追い込んだのは西洋の植民地政策だということを忘れてはいけない」
「極端な思考を持つ極右以外の日本人は愚かな程に戦争時代のことを知らない。あまりにも無知な国民である。その話題を振っても何も答えられなく、何の意見もない。しかしそれも自国の責任を消す教育のせいだ。しかたない」
「日本人が捕虜に対して行ったことが酷いことだとしても、戦争とはそういうものだ。どこの国も捕虜に対して同じようなことをしている。だから戦争はいけないんだ」
「映画はあくまでも一つの視点であり、その公開を妨げることがあってはならない。言論の自由があるからだ」
「愚かなクソ日本人」
「私の父親は実際に日本兵の捕虜になり、あまりにも酷い仕打ちを受けた。その苦しみを一生涯背負い続けている」

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海外で生活していると、戦争や捕鯨についての意見を求められることも少なくありません。様々な国籍の人達と関わってくる中で感じたことは、やはり歴史も人間が伝えるものであり、それぞれの国の主観が入っているということ。歴史観や主張には各国それぞれ国益を考えた思惑も反映されていることでしょう。それはきっとどこの国でも同じ、当然のこと。個人の記憶一つとっても確かなものではないですが、大切なのは物事を様々な角度から見ようとすること、多様性に耳を傾けること、その上で全てを鵜呑みにするでもなく、できる限りの真実を見極めようと学び、自分の頭で考え、判断することではないかと思います。それにしてもやっぱり日本人なので、「クソ日本人!」なんて言われると私はいまだに傷ついてしまいます。人と対する時には何人、ではなく「その人そのもの」と対峙しなければ、と改めて肝に銘じました。

(なお今回の記事は誤解を生むことのないよう、表現についてはできるだけ直訳を心がけています)

 

http://www.theguardian.com/film/2015/oct/22/angelina-jolie-unbroken-shown-japan-racism-protests

http://variety.com/2015/film/asia/angelina-jolie-unbroken-finally-set-for-japan-release-1201623881/

 

梶原香乃 東京生まれ、東京育ち、1/4程イギリス育ちの役者。無防備に生きていたいです。出演作品『新しき民』(12/5よりユーロスペース)の特報はこちら。 https://www.youtube.com/watch?v=1q-XMX9-afI この声が世界に届きますように。


2 Comments
  1. 戦争を体験していない世代ですが、祖父の話し、残された戦争のフィルム、劇映画から我々は戦争を知る事が出来ます。劇映画の場合、生産国の思想が色濃く出ます、映画「黒い太陽」では日本軍が中国に犯した行為が描かれています。たまたま日本のニュース番組を見ていた時「黒い太陽」で描かれた日本軍部隊に居た方がコメントをしていました。勇気がある行動だと思いました、拭い去れないが償いの気持ちだったのだと思います。実際にその部隊は存在したのです。映画を見ていなければ、ニュース番組を素通りしたと思います。
    「黒い太陽」劇中で印象的なシーンがあります。幼い赤子を持つ母が、凍傷実験により両腕を失います、赤子は雪の中に捨てられ、母親が駆け寄りますが両腕がなく、赤子を抱く事が出来ません。母親は日本軍に連れていかれます。赤子は雪の中で凍死します。
    私は涙しました、母が子を思う気持ちは万国共通です。劇映画ですが、この映画のテーマはここにあると。このシーンがなければ、ただ日本を否定する映画になったのかもしれません。
    今、私たちに必要なのは、どんな状況下でも理想を捨てないことです。人を思う事。
    これからもずっと。

  2. アンジェリーナ ジョリーは
    反日っていうより、人種差別が好きなんじゃないのだろうか
    有色人種をバカにしてる。

    米軍が日本に何したか知ってるんでしょうか
    知らない人は、明治初め生まれのお爺さんお婆さんに聞いてみるべきだ

    米軍は、広島長崎に核爆弾を落とし、軍施設も無関係な施設も関係なく一瞬で
     焼き払い消滅させ、大勢の非戦闘員をわざと殺害し
    それ以上の非戦闘員を被曝させ、大勢殺し、生き残った人達を今でも被曝病で苦しめて
    いるだけでなく、

    日本中の市街地を空襲し、街を焼き払い、大勢の一般の人達を無差別殺戮し
    その爆弾が余ったからと、帰る途中で、通過する町や田舎に、沢山の爆弾を落として
    大勢を無差別殺戮した

    この事実を、この人種差別女優に突き付けてやるべきでは
    非戦闘員の無差別殺害は、米軍の得意とするところな訳ですし

    真珠湾なんて甘い甘い
    米軍が何をしたか、リアルな映画作って反米諸国で上映してやるべきだと思う
    こんな臭い人種差別女の気まぐれカネもうけに負けていてはいけない

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