ルイ・ヴィトンの表参道店で現在スティーブ・マックイーン展が開催されるなど、高級ファッションブランドの店舗でギャラリーが展開されているように、過去の重要な映画作品がブランドの店舗併設のシアターで上映されているのをご存知だろうか。

たとえばエルメスの銀座の店舗では毎回テーマを設け、それに沿った作品を上映。2014年は『メタモルフォーズ―変身』をテーマとし、6月は2011年のベルリン国際映画祭でテディ賞審査員特別賞を受賞したセリーヌ・シアマ監督の映画「トムボーイ」を上映中だ。舞台はフランスの小さな田舎町で、自らを「ミカエル」(男性の名前)と名乗る10歳の少女が主人公のこの映画。思春期はじめの繊細さや周囲との葛藤を美しい田園風景とともに描いている作品だ。おなじメタモルフォーゼというテーマで5月にはドイツの現代舞踊家の生前最後の姿をおさめた作品「ピナ・バウシュ 夢の教室」が上映された。

http://www.maisonhermes.jp/ginza/

GUCCIもシネマヴィジョナリーズというプロジェクトで過去の重要な作品(ヴィスコンティ「山猫」、セルジオ・レオーネ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」等)を財団のバックアップの元、修復し上映する活動を続けてきた。(2014年の上映は5月で終了)

エルメスもGUCCIも予約が必要だが、上質な作品を無料でスクリーンで見られる希有な施設なので、余暇の過ごし方の候補として頭の片隅に入れておいてはいかがだろうか。

磯野 麻夕子


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