[265] 映画史上もっともポップでリアルな新世代のヒロイン登場!『The Diary Of A Teenage Girl』


本日のWorld Newsは、マリエル・ヘラーの監督デビュー作、『The Diary Of A Teenage Girl(原題)』を紹介します!

10代の夏休みに、みなさんはどのような思い出がありますか?夏休み真っ最中の今月、欧米では、複雑なティーンエイジャーの姿をまっすぐに表現したインディー映画『The Diary Of A Teenage Girl』が公開されます。

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主人公は、学校がきらいで、将来はアーティストになりたくて、自分の見た目にコンプレックスをもっていて、男の子とは話すことができない、15歳の女の子、ミニー。ある日、彼女は、アルコール中毒の母親の彼氏である35歳のモンローと関係をもってしまいます。そして、彼女は日記のように使っているテープレコーダーに思いを吹きこんでいきます。第一声はなんだと思いますか?彼女はただ、「I had sex today. Holy shit!」といいます。そこにあるのは、興奮や喜びだけ。彼女がモンローと関係をもったのは、彼に気があったわけでもなく、ただそこにチャンスが転がっていたから。彼女は、恥ずべき行為をしたとは思っていません。でも映画の最後では…ミニーはこの経験から、なにかを学びます。#1

監督・脚本は、女優としても活動しているマリエル・ヘラー。性や人間関係に翻弄される10代の女の子の葛藤をせきららに描いた本作は、数々の映画賞にノミネートされ、ベルリン国際映画祭では14歳以上の子どもを描いた作品に送られる審査員賞を、エディンバラ国際映画祭では、長編国際映画賞を受賞しました。#2

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この作品のすばらしい点は、女性の性を価値判断ぬきで、ありのままの一人の人間の姿として描いている点です。ヘラー監督は、このようにコメントしています。

「10代の女性の表現は、これまでとても貧しいものでした。私は社会がティーンエイジャーの女の子のセクシャリティを恐れていると思う。だから女の子たちは処女性が強調されるか、性にだらしないか、その両極端な二つの表現しかされてこなかった。それらは、実際に一人の人間として生きていたティーンエイジャーの頃に私たちが感じていたものとは、かけはなれているものです。」#3

「10代の男の子も同じく人間であり、ホールデン・コールフィールド(J・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』の主人公)はそれをうまく表現した複雑なキャラクター。じゃあ、私たちの女性版ホールデンはどこ?そう思ったんです。10代の女の子がリアルに感じていることを正直に表現することは、とても重要だと思いました。」#4

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原作となったフィービ・グロエックナーの『The Diary Of A Teenage Girl』は、グラッフィックノベルの傑作といわれています。この作品を読んだヘラー監督は、すぐに脚本の執筆にとりかかったそうです。しかし当初は、映画ではなく、舞台化を考えていました。原作者のグロエックナーは、当時をこう振り返ります。

「数年にわたって、 私は3人の監督から映画化の話をもちかけられていましたが、私はそのどれにも満足できませんでした。それはきっと私が自分自身のビジョンを映画化について持っていたからだと思う。そして8年前、マリエル・ヘラーが舞台をつくりたい、とアプローチをしてきたの。それは変わった提案だったし、舞台ことについては考えてなかったから、イエスと言ってしまったんです。 それから数年を通じて、私と彼女は作業をとおして強い信頼関係を築きました。そして彼女からこの劇を映画にしたい、と言われた時はもちろんイエスと言いました。」#5

原作者が思い描いた映像そのものだと太鼓判をおすこの作品がもう一つ優れている点は、1970年代の魅力がいっぱいのポップな仕上がりになっているところです。アニメーションや70sの音楽を使用し、まさに、コラージュや装飾でいっぱいの、レトロでおしゃれな女の子の日記をのぞいているかのよう。こうした演出が、母親の彼氏と関係をもつというプロットを、重すぎず、明るく、何より人間らしく描いていき、見やすいものにしています。

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さらには、俳優の演技が観客をひきこみます。本作がアメリカデビューとなる23歳のイギリス人女優、ミニー役のベル・パウリーは、監督に「ときに少女のように、ときにセクシーな大人の女性のように見え、おもしろさ、ぎこちなさ、冷静さ、脆さなどのすべてを表現できる」とその演技を絶賛されました。また、『ブライズ・メイズ』のクリステン・ウィグが母親を、『トゥルーブラッド』のアレクサンダー・スカルスガルドがその彼氏を演じ、安定した演技をみせています。#6

ヘラー監督は、この映画を見るにつれて、これまであなたが女性についてどれだけのものを見落としてきたかがわかるだろう、とコメントしています。

「メインストリームの映画は、女性の存在と感情をあつかうに値しない些細なものとすることによって女性を害していたと思います。」#7

「人々は、カメラの後ろにいる女性を表現する必要があること、そして映画産業はこれまで描いてこなかったものを表現しなくてはならないことに、やっと気づいているのでしょう。私はいま、そうした活動をしている私たちの時代がやってきた、そして古い考えを壊してやる、と意気込んでいます。」#8

これまでスクリーンに登場した女の子の中でもっともポップでリアルな等身大の女の子、ミニー。あなたも、彼女に会ってみたくありませんか?日本での公開に期待が高まります。

#1,7,8

http://www.theguardian.com/film/2015/aug/04/diary-of-a-teenage-girl-film

#2

http://www.imdb.com/title/tt3172532/?ref_=ttawd_awd_tt

#3,4,6

http://www.latimes.com/entertainment/movies/la-ca-mn-diary-of-a-teenage-girl-marielle-heller-20150802-story.html#page=1

#5

http://stamps.umich.edu/creative-work/stories/phoebe

掲載画像

https://www.facebook.com/DiaryTheMovie/timeline

北島さつき
World News担当。早稲田大学卒業後、現在は英国、レスター大学の修士課程 Film and Film Cultures MAにて世界各国の映画作品、産業、文化について勉強中。


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