2014年公開、オスカーを受賞した『6歳のボクが大人になるまで(原題:Boyhood)』で12年間の撮影期間を経て親子の物語を描いたリチャード・リンクレイターが、ミュージカル作品『メリリー・ウィー・ロール・アロング(原題:Merrily We Roll Along)』を20年間にわたって映画化することが話題となっている。

 

『メリリー・ウィー・ロール・アロング』は、アメリカのミュージカル界を代表する作曲家スティーヴン・ソンドハイムの音楽と1952年『アンデルセン物語』で有名なアメリカの劇作家モス・ハートとジョージ・S・カウフマンによるミュージカル作品であり、ブロードウェイで活躍する作曲家のフランクが、成功までの20年間を現在から過去へと時代を遡って回想し、夢と引き換えに失った彼を取り巻く生活や人間関係を描く作品だ。

 

 

主人公のフランクを『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』のブレイク・ジェンナー、彼の旧友で劇評家のメアリーを『レディ・バード』のビーニー・フェルドスタイン、『ピッチ・パーフェクト』のベン・プラットが元親友の作詞家チャーリー・キンガスを演じる。『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』のプロデューサーを務めた、リンクレイターのメインプロデューサーであるジンジャー・スレッジが今回もプロデュースを手掛け、1957年から1976年を舞台とする原作に基づいて実際に20年かけて計画されている本プロジェクトは、それぞれの場面をショートフィルムとして扱い、全9回の撮影が予定されている。

 

作曲家スティーブン・ソンドハイム、『ウエスト・サイド・ストーリー』といった数々の有名な作品を生み出した演出家ハロルド・プリンスといった当時の名を連ね誰もが成功を確信し1981年に初演が上映されたものの、わずか16回の公演で終了してしまった『メリリー・ウィー・ロール・アロング』。2016年には、オリジナルキャストによって当時を回想するドキュメンタリー映画『ベスト・ワースト・ストーリー(原題:Best Worst Thing That Ever Could Have Happened)』も話題となった。自らも80年代に観て以来の長年のファンだと熱く語るリンクレイターの20年に渡る今回のプロジェクトで作品に再び息吹が宿されることが期待されている。順調に制作が進められれば、2040年頃に劇場公開される予定だ。首を長くして待つほかない。

 

参考文献

* https://thefilmstage.com/news/richard-linklater-throws-down-gauntlet-with-20-year-adaptation-of-merrily-we-roll-along/

* https://www.indiewire.com/2019/10/ben-platt-the-politician-richard-linklater-merrily-we-roll-along-1202180810/

* https://news.avclub.com/heres-what-richard-linklaters-20-year-production-schedu-1838980680

三浦珠青

早稲田大学文化構想学部4年生。熊本育ちの十一月生まれ。趣味は映画と読書。


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