『夜よ、こんにちは』(Bonjorno, Notte)はテロリズムを描いた映画だ。主題となる事件は1978年のイタリアで実際におきた「アルド・モーロ誘拐事件」。1968年を一つの契機とする世界的な「政治の季節」以降、イタ
続きを読む →次の選挙に出馬するヴィットリオとその姉エレナに対して、その下で会計士として働くカルロとジョヴァンナが二人に性的な関係を用いて取り入っていく。いわゆるブルジョワ批判として、いかにも“ベロッキオらしい”という一言で括られてし
続きを読む →『ポケットの中の握り拳』。怒り、衝動、悔しさ、決意、歓喜… 劇的なエモーションの爆発が観る者を待っている、そんなことを予期させる響きだ。 あるイタリアの田舎に住むプチ・ブルジョワ家族、母と四人の子供たち。物語
続きを読む →中学英語ほどの単語力しかない私は、英語字幕をなんとなくフィーリングで読み飛ばし、言葉で切り与えられるところの何かをぼんやりとやり過ごした結果、ひとりの青年の鬱屈と愉快と癇癪に触れていたのでした。  
続きを読む →ベロッキオの映画を説明するのは難しい。扱う事件やテーマの鋭さ、フィクションの物語としてのおもしろさ、撮影や照明のかっこよさ、音楽や音響の斬新さ、とにかくどれもビシビシくる。なんというか、あらゆるところから脳を刺激する映画
続きを読む →冒頭、静かな晴れの日、屋根伝いを歩くひとりの女性が突如として現れる。意味不明な言葉を叫んでいるが、どうやら恋人と別れたらしい。いつ飛び降りてもおかしくない。女に踏みとどまるよう諭す周囲に混じって、一人の青年、彼の見つめ
続きを読む →美容サロンを経営する才女イーダの前に現れた一人の男、それは後にイタリア史に名を刻む唯一無二の独裁者となる若きベニート・ムッソリーニだった―― 『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』は、その名の通り、イタリアの独裁者ムッソ
続きを読む →1965年のイタリア映画『ポケットの中の握り拳』は、当時、26歳であったマルコ・ベロッキオ監督の第1作でありながらも彼の力量をまざまざと見せつけられる作品となっている。この作品は、視野を拡大していくと、1960年代後半に
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