今年のカンヌ国際映画祭で、4つの作品でレッドカーペットを歩くという、”カンヌの女王”ぶりを披露したニコール・キッドマン。
『How to Talk to Girls at Parties』では、エル・ファニングとの仲睦まじい様子が美しい母子のようだと話題にもなったが、この二人が共演したもう一つの映画が、ソフィア・コッポラ監督の新作『The Beguiled』だ。
ドン・シーゲル監督が『ダーティ・ハリー』と同じくクリント・イーストウッド主演で製作した『白い肌の異常な夜』(1971年)のリメイクである。南北戦争で負傷した兵士(コリン・ファレル)が男子禁制の女学校にかつぎこまれ、彼をめぐって女性たちが狂っていくというサイコスリラーだ。コッポラ監督は、「男性目線で描かれたこの映画を、女性目線で描いたら面白いだろうと思った」と語った。

また、同じくカンヌでプレミア上映されたTVシリーズ、『Top of the Lake: China Girl』は、ジェーン・カンピオンとアリエル・クレイマン監督による、人生を立て直そうともがく女性刑事を描いた作品だ。
ニコール・キッドマンは、こうした女性監督たちの試みを重視し、これからは少なくとも「18ヶ月に一度は女性監督の作品に出演する」とインタビューで宣言した。

「女性監督と定期的に映画を作ることは、必要なことよ。なぜなら、女性監督の作品を選んで出演することが、統計を変える唯一の方法だから。少なくとも18ヶ月に一度というのは、機会を均等にするために妥当なの。」*1

また記者会見では、ニコールはアメリカ監督組合の統計データを示してうったえた。

「2016年に公開された映画のうち、女性が監督したのはたった4.2%よ。TVシリーズでは4000話のうち、女性監督はたったの183話だけ。この統計がすべて物語っているでしょう。だから、私はこのことを言い続けていきたい。」

「私たちは、女性として、女性監督をサポートしなければならないわ。時間とともに、この状態が改善していくことを期待してる。みんな、前よりよくなっているって言うけど、まだ全然そんなことないのよ。」*2

今回のカンヌで上映されたニコール・キッドマンの出演作4つのうち、実に2つが女性監督の作品である。彼女はこれからも、映画産業における男女の平等を体現してくれるだろう。
先日、ミラ・クニスも自身が経験したハリウッドのセクハラについて告白し、声を出すことの重要性について語った。ハリウッドに真の変化をもたらすために、当事者である女性たちが動き出している。

*1
https://youtu.be/-9wDCZ6GLlI

*2
https://www.theguardian.com/film/2017/may/24/nicole-kidman-i-will-work-with-a-female-director-every-18-months

北島さつき
World News&制作部。
大学卒業後、英国の大学院でFilm Studies修了。現在はアート系の映像作品に関わりながら、映画・映像の可能性を模索中。映画はロマン。


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