[594]ウェス・アンダーソン監督が語る『犬ヶ島』


ウェス・アンダーソン監督の最新作である『犬ヶ島』が、先日2月15日に幕を開けた第68回ベルリン映画祭にてオープニング上映され、監督が作品について言及した。

『犬ヶ島』は、ディストピア未来における架空の日本を舞台に、失踪した愛犬を探す少年と、犬たちの壮大な冒険物語である。今作品は監督にとって、2014年『グランド・ブダペストホテル』以来の最新作であり、2009年の『ファンタスティック Mr.Fox』以来のストップ・モーション映画である。

脚本家のロマン・コッポラ、映画俳優のジェイソン・シュワルツマン、日本の映画俳優である野村訓市、そしてビル・マーレーやブライアン・クランストンをはじめとする豪華な声優陣たちと登壇したオープニング上映における記者会見において、監督はこの作品の起源について以下のように述べた。

「ジェイソンとロマンと僕は、ゴミ捨て場に捨てられた犬の物語を描きたいと思って、このプロジェクトを始めたんだ。それと同時に、日本にまつわる何かを作りたいという話もしていたんだよ。日本映画、特に黒澤明監督への愛を僕たちは共有していたからね。そこで僕たちは、どこででも起こりうる物語の舞台を、現実にはないファンタジーの日本にすることにしたんだ。」

初期のアイデアのひとつは、1960年代のあるひとりの映画製作者が2007年の世界が犬たちにとってどんなものであるかを予測する、という物語だった。このアイデアは廃棄され、さらに脚本の構成の基盤が日本のカルチャーへの愛へと移行し、未来を舞台にした物語を描くことになったという。そしてアンダーソンは、日本映画から多大な影響を受けたことを語る。

「僕は『ファンタスティック Mr.Fox』をやる前から、日本のアニメーションにとても興味を持っていたんだ。インスピレーションになったのは二人の映画監督、それは黒澤と宮崎だよ。」

「宮崎は細部にこだわった描写をするけれど、それと同時に、沈黙もしていると思うんだ。」「彼の作品には、自然、そしてアメリカンアニメーションにはないある一つのリズムのような、平和的な時間の感覚がある。それには本当に多大な影響を受けたよ。作曲家のアレクサンドル・デスプラと仕事をしていたときに、僕たちは様々な箇所において音楽的要素を除くことを決めた。なぜなら、この映画は静けさを必要としていたからなんだ。これは宮崎から影響を受けているよ。」

ビル・マーレーやティルダ・スウィントンをはじめとする豪華なメンバーで構成されるボイスキャスティングも『犬ヶ島』の注目するポイントのひとつだ。一つの映画作品でこれまでに多くの俳優をキャスティングできるのは、アニメーション映画であるからだとし、監督はキャスティングを行った俳優たちへの愛、そして成立させたことへの喜びを以下のように語っている。

「ほとんどの俳優たちは、僕が仕事を共にしてきた仲間、長い間大好きな人たちなんだ。ある意味で、このメンバーが初めての、僕が望んだままのリストかもしれない。」「(参加)できないとは言わせないよ(笑)。だって時には彼らの家でもできるし、1日のほんの数時間ででもね。そこに言い訳は成立しないんだ。」ビル・マーレーも、今回声の出演をしたことについて、「ひとつの韻文だけだったとしても、歌うことができてとても嬉しい。『We Are the World』のミュージックビデオのひとりの歌手であるような気持ちになったよ。」とコメントしている。

アンダーソンが、日本の映画カルチャーへの愛、俳優たちへの愛を込めて描いた、ファンタジーの日本の世界を舞台にした犬たちの物語とは、一体どんなものなのだろうか。日本での公開は5月の予定。

参考URL:

Wes Anderson Explains Hayao Miyazaki’s Influence on ‘Isle of Dogs’ and Stop-Motion Challenges

‘Isle of Dogs’: Everything You Need to Know About Wes Anderson’s New Stop-Motion Movie

三浦珠青
早稲田大学3年生。映画と小説と詩とエスニック料理が好きです。


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