ギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』(原題:『The Shape of Water』)が盗作であると訴えられている。1962年アメリカを舞台に展開されるファンタジー・ロマンスである当作は2017年ベネチア国際映画祭金獅子賞、ゴールデングローブ賞の監督賞及び作曲賞、アカデミー賞13部門ノミネートと高い評価を得ている。日本でも2018年3月1日(木)より全国で公開される予定だ。
今回訴えたのは、『アメリ』(2001)や『デリカテッセン』(1991)などを手がけたフランスの有名監督であるジャン=ピエール・ジュネだ。
デル・トロの作品では、サリー・ホーキンスとリチャード・ジェンキンスが演じるキャラクターが、古いハリウッド映画を見ながらソファに座っている間に、魅力的なツーステップダンスをしている。ジュネは『デリカテッセン』に登場する2人の子供による類似する場面からこの場面を盗んでいると考えている。ジュネは「『シェイプ・オブ・ウォーター』を観にいく前に、すでに観た人は『アメリ』の話をしてきた。確かに、画家、アパート、あどけない少女には『アメリ』の一面がある。しかし、それは特に『デリカテッセン』に見られる」と述べている。
ジュネはこの場面を巡ってThe Playlistを通じてOuest-Fransuに次のように説明した。ジュネはデル・トロに「あたなには想像力や才能が豊富にある。どうして他人のアイデアを盗むのか」と聞いた。それに対してデル・トロは他の作品を盗作しているのではなく、制作チームに影響を与えているのは『ゼロの未来』(2013)などを手がけたイギリスの映画監督、テリー・ギリアムであると述べている。ジュネはデル・トロには盗作をする必要のないくらい才能があるため、怒りよりも失望を感じていると言う。デル・トロは『デリカテッセン』の影響を認めていないが、ジュネはこの場面を作るときに念頭にあったと確信している。
『シェイプ・オブ・ウォーター』に盗作の疑いがかけられたのは今回が初めてではない。ジャン=ピエール・ジュネ以前に、ポール・ジンデルの戯曲『Let me Hear you Whisper』(1969)とオランダの短編映画『The Space Between Us』との類似が指摘されていた。
『シェイプ・オブ・ウォーター』がコピーであるのか、オマージュであるのか、単なる偶然であったのかを区別するのは難しいが、デル・トロに対する不満の声は大きな悪影響だ。これらの論争は3月4日に開催されるアカデミー賞の名誉をけがす可能性がある。『シェイプ・オブ・ウォーター』チームはオスカーを含むいくつかのタイトルを逃すかもしれない。
参考:
http://www.lefigaro.fr/cinema/2018/02/08/03002-20180208ARTFIG00206-jean-pierre-jeunet-accuse-guillermo-del-toro-d-avoir-copie-colle-ses-films-avec-la-forme-de-l-eau.php
兒玉奈々
World News担当。慶應仏文4年生。映画に出てくる女優さん、ダンスシーン、音楽が大好きです。熱しやすく冷めやすいタイプなので、ハマってるものがコロコロ変わります。
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