ディナール英国映画祭が2017年9月27日から10月1日まで開催された。英国映画祭がフランスのディナールで開催されることにいささか疑問を感じるが、ここには歴史的な理由がある。現在、フランス・ブルターニュ地方屈指の保養地であるディナールはイギリス人のリゾート地として有名である。その背景には、19世紀の海水浴ブームが起こった際に、多くの英国貴族がイギリス風の別荘を建て、次第にリゾート地として発展したという歴史がある。そして、1989年に英国映画をフランスの映画会社やシネフィルに届けることを目的として、このディナール英国映画祭が創設された。ヨーロッパ市場進出を狙う映画制作者にとって重要な役割を果たす場所であると同時に、配給会社にとっても配給作品を探す主要な場所となっている。2009年には20周年を記念し、レクリューズ海岸にヒッチコックの銅像が建てられた。(#1)

 第28回ディナール英国映画祭の審査員を務めたのはフランスの女優クレマンス・ポエジー、フランスの男優Vincent Elbaz、フランスの作家・編集者Annette Dutertre、イギリスの男優Roger Allam、そしてイギリスのプロデューサー・ディストリビューターMichael Ryanだ。(#2)40本ほどの作品が5つの会場で上映され、そのうち20作品は初公開だった。昨年度のグランプリ賞と脚本賞はアイルランド・アメリカ合衆国・イギリスによる共同制作作品で、アイルランドのジョン・カーニーが脚本・制作・監督を務めた『シング・ストリート 未来へのうた』へ贈られた。(#3)

 今年度のグランプリを受賞したのはフランシス・リーが原作・監督を務めた『God’s Own Country』だ。この作品では、人里離れたヨークシャーの霧の中で朝から晩まで働くジョニーが季節労働者のルーマニア人男性との出会いによって、人生を変える物語が描かれている。(#4)『God’s Own Country』は2017年12月6日フランスで公開されることが決まった。

 脚本賞にはピーター・マッキー・バーンズ監督『Daphne』が選出された。また、『Pili』でタンザニアの農家の肖像を描いたリアン・ウェルハムは観客賞を受賞した。これら受賞3作品には全て初監督によって作られたという共通点がある。(#5)

(#1)http://www.festivaldufilm-dinard.com/en/historical/
(#2)https://www.screendaily.com/news/gods-own-country-daphne-win-top-prizes-in-dinard-/5122876.article
(#3)http://www.lefigaro.fr/cinema/2017/10/01/03002-20171001ARTFIG00098–seule-sur-terre-de-francis-lee-grand-prix-du-festival-du-film-britannique-de-dinard.php
(#4)http://www.allocine.fr/film/fichefilm_gen_cfilm=252185.html
(#5)http://www.lefigaro.fr/cinema/2017/10/01/03002-20171001ARTFIG00098–seule-sur-terre-de-francis-lee-grand-prix-du-festival-du-film-britannique-de-dinard.php

兒玉奈々
World News担当。大学4年生。映画に出てくる女優さん、ダンスシーン、音楽が大好きです。熱しやすく冷めやすいタイプなので、ハマってるものがコロコロ変わります。


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