[505] アッバス・キアロスタミは映画より写真の方が好きだった?


『友だちのうちはどこ?』やパルムドール受賞作の『桜桃の味』、高梨臨主演の日本語作品で、一般上映作品としては最後の作品となった『ライク・サムワン・イン・ラブ』などで世界的に有名なイランの映画監督アッバス・キアロスタミが世界中のファンに惜しまれながらこの世を去ってから1年が経とうとしている。

 キアロスタミの長男でプロデューサーのアフマド氏は父の死後、未完作品の編集作業や、父の代理としての映画祭への出席など、身辺整理にこの1年を費やした。一周忌が近くなか、アフマド氏は自身も編集作業に携わったキアロスタミ最後の作品『24フレームズ』(一般未公開)が第70回カンヌ映画祭でプレミア上映されたのをきっかけに出席し、インタビューで父の思い出や父親の素顔について語った。

「父は自分のことを映画監督とあまり思っていなかった。」と彼は始める。キアロスタミ自身も様々な場でこのことについて語っている。彼は美術を大学で専攻しており、詩集や写真集も出版していて、映画以外の芸術の制作にも積極的だった。
 キアロスタミは晩年、映画監督としての時間より写真家としての時間を楽しんだという。写真は映画ほどお金が掛からないし、何人もたいそうなスタッフを抱えなくて良い。彼は写真のそのような面を気に入っていたそうだ。実際、最新作『24フレームズ』は彼自身の予算と数人のスタッフで撮影され、編集も自宅のコンピューターで行われた小規模な作品だ。
 またキアロスタミはワーカホリックとしても知られ、日に10から12時間、時には14時間も作業したという。同じ画面を何時間も見つめ続け、突然「よし十分だ。疲れたから写真を撮ろう。」と言ったという。

『24フレームズ』は24の断片から構成される120分の長編で、作品にはキアロスタミが40年以上かけて撮影した写真や絵画がちょうど24枚挿入されている。彼が撮影した写真は映画中ある種の起点として機能していて、そこから写真の撮影前後に何が起こったのかを描いていく実験的な映画だ。写真の主題は主に自然、特に鳥を捉えたものが多く人間の姿は殆ど確認することができない。

 本作は今の所日本での公開の目処は立っていないが、アフマド氏は父親の残した作品を整理するための団体を設立し、そこを経て世界中の美術館や企業などと配給の交渉を行なっていく予定だ。「父はあまり整理の上手な人ではありませんでした」。アフマド氏の仕事は続く。

[参照]
http://www.khabaronline.ir/(X(1)S(mhewc2midafyzn3u1sm11n1l))/detail/668790/culture/cinema
http://www.isna.ir/news/96030201453/اظهارات-فرزند-کیارستمی-پس-از-نمایش-فیلم-پدرش-در-کن-فیلم
http://www.pardolive.ch/it/pardo/pardo-live/today-at-festival/2016/day-10/interview-ahmad-kiarostami.html http://www.hollywoodreporter.com/review/24-frames-review-1006651

(本文)

奥村耕平 WorldNews部門。大阪の大学生。服と映画が好きです。アッバス・キアロスタミを中心にイランの映画について研究しながら東京の映画視聴環境に日々嫉妬中…。


コメントを残す