フライング・ロータスの「Never Catch Me」やマッシヴ・アタックら、
数々の大物アーティストとの映像作品を手がけた気鋭の日本人映像作家ヒロ・ムライが、
「AKIRA」実写化の監督をする可能性が浮上した。
 
実写版「AKIRA」の監督については「Get out」ジョーダン・ピール監督になるのでは?との憶測があったが、
彼はユニバーサル・ピクチャーズとの契約で2019年に公開の新作に取り掛かっているとの報道がされた。監督を断った理由としては「オリジナル作品をやりたかった」とBlumhouseに答えている。
 
ムライがディレクターを務めた米ドラマ「Atlanta」はゴールデングローブ賞の作品賞を受賞した。
ますます活躍の幅を広げている彼が、IndieWireのインタビューに「AKIRA」という作品について以下のように答えた。
「近頃の国際社会は保守化(原文”backlash”)を起こしているが、作品には戦後日本とそのイデオロギーが密接にかかわっている」
 
「AKIRA」の物語はよく知られているが、ムライが意図していることの重大性は容易に分かる。
原子力と関わりが深い第2次世界大戦後の社会は「AKIRA」に大きな影響を与えているということだ。
 
同誌はムライの今後の予定について質問をした。
「これまでの作品には没入するように取り組んでいたので、そこから抜け出そうとしていた。
だから最終的には何か撮ることになるだろうけど、今は相応しいものを探している」と、実写化については明らかにしなかった。
 
監督候補が複数人いることや、キャラクターの変更、舞台が東京からマンハッタンになっている(他にはPG-13指定されている)などいくつかの問題点がある。
最も問題視されているのはアジア人が一人もいないキャスティング、つまり「ホワイトウォッシュ」だ。
 
ギャレット・ヘドランド、マイケル・ファスベンダー、ジェームズ・フランコ、ジャスティン・ティンバレーク、ザック・エフロンなどが金田役として候補に挙がった。
鉄雄には、エズラ・ミラー、ジェイムズ・マカヴォイ、マイケル・ピットやリチャード・マッデンなど、その他多くの俳優をワーナーブラザーズはキャスト候補に挙げた。
ケイの役はクリステン・スチュアート、キーラ・ナイトレイもしくはミラ・クニスなどが演じる可能性があるとも報じられた。
 
原作者の大友克洋はキャスティングについて明らかにしてこなかったが、
最近のForbes詩のインタビューには「実写化にあたり、脚本を自分が確認することが条件だ」と、話している。
更に「『AKIRA』のような漫画をもってして原作に忠実な実写版を作るのは、映画としてはあまり意味がない」と話した。
 
ワーナーブラザーズが映画化の権利を獲得した2002年からファンは実写化を待ち望んでいる。
待ちに待って15年が経過したが、実写化に取り掛かっている様子はない。
 
昨今は珍しくない実写化の案件であるが、ファンとしては見たい反面で、黒歴史を作りたくない気持ちもある。
劇中の2020年が遠くない未来になり「AKIRA」で予見された多くのことが起こった。
核エネルギーを巡って世界情勢が動いている今だからこそ、実写化での映像化が強く望まれる。
 
★参照URL
http://www.indiewire.com/2017/06/akira-whitewashing-hiro-murai-1201835861/
http://variety.com/2017/film/news/jordan-peele-next-movie-release-date-1202440369/
https://www.forbes.com/sites/olliebarder/2017/05/26/katsuhiro-otomo-on-creating-akira-and-designing-the-coolest-bike-in-all-of-manga-and-anime/#6abc5eeb6d25
http://www.indiewire.com/2017/05/jordan-peele-not-directing-akira-1201817920/
http://www.esquire.com/entertainment/tv/a55489/atlanta-donald-glover-panel/
http://www.blumhouse.com/2017/05/12/i-was-a-witness-to-the-get-out-garden-party-massacre/
 
 

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