先日6月6日にアメリカで公開された、ジョシュ・ブーン監督最新作“The Fault In Our Stars”(原作邦題:さよならを待つふたりのために、日本公開未定)が話題を呼んでおり、アメリカでは今夏の大ヒット作のひとつとなりそうです。

 本作は、ジョン・グリーンの代表作である同名小説の映画化で、ガンのサポートグループで出会った男女の、甘くて苦いラブストーリーを描いています。キャストには、アメリカでNo.1ヒットを記録した大作『ダイバージェント』(日本では7月11日公開予定)で主演を務め、今最もホットな若手女優ともいわれるシェイリーン・ウッドリーをはじめとして、同じく『ダイバージェント』でシェイリーンと共演したアンセル・エルゴートや、ウィレム・デフォーなどを迎えています。

 ジョシュ・ブーンの処女作は、2013年7月にアメリカで公開された“Stuck in Love” (日本公開未定)です。“Stuck in Love”はいわゆるインディーズ系の映画で、低予算で撮られ、21シアターのみで公開されました。しかし信じられないことに、2作目となるこの“The Fault In Our Stars” の公開劇場数は、公開から3日にして3100シアターを超えています。興収の面でも、アメリカではこちらも現在話題の『マレフィセント』を超えるという偉業を成し遂げました。(*1)
 ほとんど無名の監督が、ハリウッドで映画を作り、ここまでヒットするというのは、極めて異例の事です。彼がインディーズからハリウッドに移ることになった経緯について、インタビューの中で次のように語っています。

 「1作目をインディで撮る事になったのと、2作目をハリウッドで撮る事になったのは、まったく違うようで、僕はどちらに対しても同じことをしただけです。
一作目の脚本を書いたらいろんな人が評価してくれたけれど、僕と配給会社との仲介役がなかなか行動してくれず、映画を撮るには至らなかった。それでフラストレーションが溜まった僕は、自分でやることにしたんです。初監督作を撮らせてくれるプロデューサーを探して、その人たちのアドレスを見つけては、何通も何通もメッセージを送ったんです。その結果、CAAで“Stuck In Love”を撮れることになった。そしたら今度はそれを、自分で21世紀FOXに持って行ったんです。それが彼らに気に入ってもらえて、今回の“The Fault In Our Love”を撮る事ができた。インディにしても、ハリウッドにしても、どちらも自分で売り込みに行ったから撮る事ができたんです。」(*2)

 作品と才能を自ら売り込むことによって、インディーズ系の映画監督が成功を収めた好例ですね。もしかするとインディーズとハリウッドの間の壁は、そんなに高くないのかもしれないと感じました。彼に倣って、これからもっとたくさんの若い才能が日の目を見ることを期待します。

則定彩香

*1
http://www.boxofficemojo.com/movies/?id=faultinourstars.htm

*2
http://www.indiewire.com/article-how-indie-director-josh-boone-landed-the-fault-in-our-stars-he-pitched-it-as-titanic

公式ホームページ
http://thefaultinourstarsmovie.com/

監督によるシーン解説


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