2014年6月号の米「WIRED」表紙にオキュラス・リフト(Oculus Rift)開発者パーマー・ラッキーが登場しています。(#1)

キャプションにはこう書かれている。
「この少年は、まさに変革を起こそうとしている。
ゲームに、映画に、テレビに、デザインに、医療に、セックスに、スポーツに、アートに、旅行に、ソーシャル・ネットワーキングに、教育に、そして現実に。
オキュラス・リフトがやってくる。
それは、君の心をぶっ飛ばすだろう。」

オキュラス・リフトについては、boidマガジンに掲載された『アップストリーム・カラー』についての私の文章の中で少し触れてあります。無料記事です。
http://boid-mag.publishers.fm/article/4223/

オキュラス・リフトは、3Dゲームなどでの使用を前提に開発されている装置で、要するに装着したゴーグルによって視界全体を覆い、目前に設置されたディスプレイに3D映像を投影する仕組みです。

しかも、ヘッドトラッキング機能によって、装着者が頭を動かせば、その方向に映像もまた移動する。これによって、そのバーチャルな映像世界内部にあたかも本当に自分が入り込んだかのような没入感を感じさせる仕組みなのです。

こうしたVRゴーグルの発想自体は決して新しいものではありません。SFなどのフィクションでは繰り返し描写され、実際の機器としても、おそらく1990年代頃には実験的な物がありました。
オキュラス・リフトがそれらに対して優れているのは、何よりディスプレイの解像度、そしてヘッドトラッキング機能の精度の高さです。つまり、同じ発想を技術的に洗練させることによって、装置を実用レベルにまで高めたものであるわけです。
しかし、そこにこそ変革への鍵がある。

「WIRED」が大々的にぶち上げたように、これがゲームばかりではなく、映画を、そしてそれ以上のものを変容させる可能性があるのであれば、私たちもまた無関心でいることは出来ないでしょう。
もちろん、それが3Dテレビの二の舞いに終わる可能性も残されていますが。

オキュラス・リフトは、最近、Facebookによって約20億ドル(およそ2000億円)もの巨額で買収されたことでも有名です。
この買収騒動は、Kickstarterの根幹を揺るがすものとしても話題になりました。
また、CTO(最高技術責任者)として迎えられたジョン・カーマック(「Doom」開発者として知られる)がZeniMaxから非難された事件も記憶に新しいです。

大寺眞輔
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#1
http://www.wired.com/2014/05/editors-note-22-06/


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