ルビッチ映画の台詞の愉しみ


こんにちは!
WorldNews担当の船津です。

今回は、個人的に大好きなエルンスト・ルビッチについて書かせていただきました。
是非ご一読ください。

—————————————————————————

「極楽特急」「生活の設計」「天使」などで知られる、エルンスト・ルビッチ。
きっと彼の作り出す豪華さ、面白さ、そして「粋」に言葉を失ってしまうだろう。
この様な観客の想像力をかきたてる演出と洗練された手法を見せた映像表現は“ルビッチ・タッチ”と呼ばれ、多くの人々に多大な影響を与え、目標とされた。

ルビッチの映画の主題は、奇数の男女が演じる恋の戯れ、セックスのもつれである。つまり三角関係である。
まず、ルビッチの代表的作品ともいえる「極楽特急」をあげてみる。
「極楽特急」は二人の女、マダム・コレ(ケイ・フランシス)とリリー(ミリアム・ホプキンス)が1人の男ガストン・モネスク(ハーバート・マーシャル)を愛し、彼から愛される物語である。
またこれに加えて、マダム・コレには二人の恋する男が絡んでくる。三角関係が二重に入り組んでいるのだ。ここで1つのセリフをあげてみる。

Baron, you are a crook-Countess, you are a thief
「男爵、あなたはペテン師よ。男爵夫人、あなたは泥棒です。」
このセリフは、ハーバート・マーシャルとミリアム・ホプキンスの間の挨拶の交わしあいである。そのやりとりは、次のように繰り広げられる。

20081006142722

―I’ve got a confession to make to you. Baron, you are a crook. You robbed the gentleman in 253,5,7 and 9…
―Countess, believe me, before you left this room I would have told you everything… And let me say this with love in my heart
―Countess, you are thief. The wallet of the gentleman in 253,5,7 and 9 is in your possession. I knew it very well when you took it out of my pocket. In fact, you tickled me. But your embrace was so sweet…
―私は、あなたに告白しなきゃけないのよ。男爵、あなたはペテン師よ。
あなたは253、5、7、9号室のスイートルームにいるお客様から盗みましたね。
―男爵夫人、私を信じて。あなたが部屋から出ていく前にちょっと言いたいことがあるんだ。
そのことを愛をこめて言わせてほしい。男爵夫人、あなたは泥棒です。
253、5、7、9号室にいる客の財布をあなたは持っています。
(私のポッケからあなたが財布を盗ったという事実は知っていた。)
実際、あなたは盗むとき私は感じたからね。(素人だとわかった)でもあなたに抱かれてとてもよかった。

このセリフからわかるように、リリーとガストンは互いに泥棒だったのだ。
そして小粋さ(エロティックさ)や返しのテクニックなどは、ルビッチ流といえるだろう。
また互いに愛を囁きながら盗みのテクニックを披露する場面でも観客の想像力をかきたてる演出が多くある。

次から次へと溢れ出てくる洒落たセリフの数々と「目」で魅せる楽しさ。ルビッチが作り出す世界観に是非酔いしれてほしい。
(特に私がおすすめなセリフは、リリーが発する「オー・ノー、ダーリン」である。)

参考文献
映画作家論 中条省平

船津 遥
World News担当。学習院大学文学部フランス語圏文化学科所属。サイレント映画、ウェス・アンダーソンのとりこ。日活映画にもはまっている20代女子。(量産型キラキラ系女子ではありません。)