【リヨンひとりある記】その四、《マッシュアップ映画祭》体験記。


 

こんちには。リヨンの田中めぐみです。

 

今日この頃フランスで生活をしていて日々感じるのは、ヨーロッパ人の「アジア文化に対する敬意と憧れ」です。日本にいるときには気付かなかった(というか忘れかけていた?)極東の島国Japonの魅力を、日本人である私が、逆に教えられてしまうというなんとも恥ずかしい事態ですが、同時に嬉しくもあり誇らしくもあり。

 

誰もが一度は必ず訪れたい!と言ってくださる。ここフランスから見る日本―JAPON―は実に神秘的で美しくオリエンタルな“禅”の国なのです。

今日現在、リヨンで公開中の日本映画は、『三度目の殺人』(是枝裕和監督)、『散歩する侵略者』(黒沢清監督)、『メアリと魔女の花』(米林宏昌監督)。先の2作品は昨年日本でも同時期公開していましたね。つい先日までは『オー・ルーシー!』(平柳敦子監督)や『光』(河瀬直美監督)が上映されていました。

 

また先月、ある映画館のシネクラブにて『パプリカ』(今敏監督)の上映がありました。これは私もぜひ参加しようと満を持して予約までしたのですが、満員のため入れず…。フランスにおける今敏監督作品の人気の高さを身をもって感じました。その独創性と芸術性が高く評価されています。ここでは先日『フクシマ・モナムール』(ドーリス・デリエ監督、ドイツ)の上映もありました。

 

また、パリ近郊モントルイユでは、4月9日~11日の3日間、吉田喜重監督と女優・岡田茉莉子のレトロスペクティブが行われていた模様。『秋津温泉』『水で書かれた物語』『鏡の女たち』などの上映があり、なんとお二人もゲストとして実際に来ていたようで!ぜひとも行きたかったのですが遠いので断念…。

 

さらに4月18日からはウェス・アンダーソン監督の話題作『犬ヶ島』が公開されたこともあり、映画関連や雑誌、新聞等で«JAPON»というワードを本当に頻繁に目にします。

ミニチュア シネマ博物館が『犬ヶ島』一色!

 

前置きが長くなりましたが…

今回の【リヨンひとりある記】は、3月から4月中旬までフランス全土で行われていた«マッシュアップ映画祭»をご紹介します!

フランスの監督セドリック・クラピッシュがプレシデントを務めた今年のコンセプトは« Rêves, détournements et utopies »(夢、デトーナメント、そしてユートピア)でした。デトーナメントとはフランス語で婉曲、乗っ取りという意味。

マッシュアップ」とは、もともとは二つの既存楽曲の要素を取り出して組み合わせ一つの新しい楽曲を作り上げるリミックス手法(三省堂 大辞林より)という意味の音楽用語です。その手法に倣い、映画だけではなく世界中のありとあらゆる映像や写真を切り取り、編集し、組み立て、テーマに沿った全く新しい映像作品を生み出そうという企画。

尺の短いものから長いもの、クラシックなものから前衛的なもの、ふざけたものから真面目なもの、アーティステックなものからサイケで病的なものまで!作品性は実に自由で個性豊かであるがゆえ、作り手のセンスや意図が如実に出るのが見所ですね。

 

当映画祭のプログラムは、テーマ別に分かれており、それぞれが7.8個の短編作品で構成されています。地域によって観られるテーマが多少異なりますが、「ダンスミュージック」や「Nippon Mix」、「バリエーションエロチカ」、「シリーズ」、「悪夢」など多種多様です。その他、マッシュアップ長編作品としてミシェル・アザナヴィシウス監督の1993年の作品『La Classe américaine(原題)』の上映もあったようです。

その中から、私も実際に観た「Nippon Mix」を以下に簡単に紹介します。数あるテーマの中で、国単独で取り上げられているのは日本だけ。心からありがたい!

(以下、YouTubeで観られる作品もあるので気になった方は是非。)

 

 

『The Films of Yasujiro Ozu』

Brandon Kyle Goco (4’43), USA

小津安二郎作品の総まとめのような作品です。畳の上でうちわで扇ぐ仕草、赤いやかん、無邪気な子供たち、酒をかわしほろ酔いのおじ様方、はっとする着物の華やかさ。あの頃の日本はこんなにも美しいのか、とあふれる涙をこらえるほど美しい作品でした。外国人の方が日本本来の良さを熟知しているのではないか、という気さえしました。

 

『Yojimbo and Fistful of Dollars : Shot by Shot Montage』

Alejandro Villarreal (2,43), USA

黒澤明監督作『用心棒』とセルジオ・レオーネ監督作『荒野の用心棒』のモンタージュ作品。

 

『Samourai』

Johanna Vaude (7’23), France

Samuraiの「刀で斬る」というアクションをグラフィカルに、リズミカルに、ポップに、そしてカラフルに、軽快な音楽にのせて魅せるまさにアーティスティックな技術的野心作。

 

Goofy Godzilla !

Dr Morbius (4’26), USA

日本映画の金字塔と言えばゴジラでしょう。海外にも大きな影響を及ぼしました。ここでは音楽に合わせてダンスするゴジラです。

 

 

Studio Ghibli In Real Life

Kojer (3’18), Corée du Sud

ジブリのキャラクターが実際の世界にいたら…という作品。韓国の作品です。

 

『Papillon d’amour』

Nicolas Provost (3’54), Belgique

黒澤明の『羅生門』を元に、幻想的で妖艶なシュルレアリスムの世界観。印象的な音楽と共に、いかにも左右対称の蝶(Papillon)のような圧倒的な映像美に心打たれます。

 

 

 

昨今ネット上に溢れているGIFを用いた動画が流行っていますが、なにより、当映画祭がそれら”画遊び”と一線を画し、より実りある芸術性の高いクリエイティブなものとなったのは根底に圧倒的な「映画愛」があるから。

 

映画を通して、世界中の人々が国籍・世代・性別を超えて分かち合い、笑い合い、共感しあう。映画は、世界をつなぐ«言語»です。英語でも中国語でもない、唯一の«世界共通語»です。

 

昨日観た、パリに住むシネフィルの若者たちを描いた『Mes Provinciales(原題)』の中で“映画はこの世界を救えるのか?”という熱い議論を交わしていましたが、「あり得ない話でもない」、私はそう思います。

画像元;

http://mashup-film-festival.com/

http://www.cnc.fr/web/fr/evenements;jsessionid=25799E102619292557443379D082F415.liferay?p_p_id=listeactualites_WAR_listeactualitesportlet&p_p_lifecycle=0&p_p_state=pop_up&p_p_mode=view&p_p_col_id=column-1&p_p_col_count=1&_listeactualites_WAR_listeactualitesportlet_struts_action=%2Fsdk%2Fportlet%2Flisteactualites%2Fprint_article&_listeactualites_WAR_listeactualitesportlet_groupId=18&_listeactualites_WAR_listeactualitesportlet_articleId=13662006&_listeactualites_WAR_listeactualitesportlet_viewMode=print

https://theworldnews.net/fr-news/au-mashup-film-festival-2018-le-cinema-se-reinvente-dans-la-parodie

 

 

田中めぐみ

World News担当。在学中は演劇に没頭、その後フランスへ。TOHOシネマズで働くも、客室乗務員に転身。雲の上でも接客中も、頭の中は映画のこと。現在は字幕翻訳家を目指し勉強中。永遠のミューズはイザベル・アジャー二。