【リヨンひとりある記】その六、リュミエール映画祭«メイン・プログラム»紹介記。


 

こんにちは。フランス・リヨンの田中めぐみです。

 

今、まさに世界中がワールドカップの話題で持ち切りですね。

連日互角の勝負ばかりで、見ていて心臓が張り裂けそうです。今朝のは(日本―ベルギー戦)特に…

 

そんな中、フランスではフェット・デュ・シネマ(La Fête du Cinéma)が行われています。7月1日から7月4日までの4日間、フランス全土の映画館ですべての映画が一律4€、約500円で観ることができます。

この日程は学校のヴァカンスや試験日、ワールドカップの試合を考慮して入念に設定されているそう。

皆で映画館へ行こう!という国民的行事です。素敵です。

 

 

さて、前回のブログでは「リヨン・リュミエール映画祭とはなんぞや」を取り上げました。

 

そして今回は、ついに解禁となったそのメイン・プログラムを、先日アンスティチュ・リュミエール(リュミエール研究所)で行われ、私も参加してきたプレゼンテーションの内容と共に紹介します。

 

アンスティチュ・リュミエール敷地内のスクリーンで開催された今回のプレゼンテーションは、全7回。映画祭主催者が、映像や写真と共に、過去の映画祭の紹介を兼ねて今年の映画祭概要をプレゼンしてくれるものです。登録制ですが誰でも無料で参加できることもあって、なんと全ての回が満席!キャンセル待ちの列が出るなど凄まじい注目度でした。

なめていた私自身も実はキャンセル待ちからの滑り込み!ふう…。

プレゼンの後にはドリンクサービスがあり、スクリーンを出ると観客分のワインがずらり!昼から立食パ-ティのよう!さすがフランス。果てはこれも人気の一因か…?

 

では、早速。

 

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■リュミエール賞

ジェーン・フォンダ(女優)

毎年一人の映画人に授与されるリュミエール賞。他の映画祭とは異なりコンペティションなどストレスフルな競争をあえて排除した本映画祭の唯一の賞。今年選ばれたのは、御年80歳を迎えた言わずと知れた大女優ジェーン・フォンダ。出演中のNetflix製作の人気ドラマ『グレイス&フランキー』はシーズン5の製作が発表されたばかり。いまだ現役バリバリの彼女は女優でありプロデューサー、また女性活動家としても社会に大きな影響力を持っていることも受賞の理由だそう。

今回発表されたモンタージュは彼女の美しさと活発さが見事に凝縮されています。ぜひ下記リンクから!

https://vimeo.com/274435826

 

 

■レトロスペクティブ(上映作品の発表はまだ)

 

アンリ・ドコアン(映画監督/フランス)

アンリ・ドコアンとダニエル・ダリュー。

代表作であるジョルジュ・シムノン原作の映画『家の中の見知らぬもの』の劇中、主人公がコミカルな口調で雄弁をふるうシーンの映像と共に紹介されました。

その他監督作は『ベベ・ドンジュについての真実』『寝台の秘密』『筋金(ヤキ)を入れろ』『女猫』『カサブランカの夜』など。フランスの大女優ダニエル・ダリューの元夫としても知られています。

 

リチャード・ソープ(映画監督/アメリカ) ※35mmフィルム上映

プレゼンの際、サンプル映像を上映しようとしたが機材不具合で断念。フィルムならではのハプニングでした。

その他監督作は『円卓の騎士』『監獄ロック』『アカプルコの海』『姉妹と水兵』『ターザンの猛襲』など。

 

 

■女性シネアストたちの歴史

 

ミュリエル・ボックス(映画監督、脚本家/イギリス)

サン・セバスティアン国際映画祭とのコラボレーションにより実現した企画。戦後の女性シネアストの第一人者。元夫シドニー・ボックスと共同脚本を手掛けた『第七のヴェール』では米国アカデミー賞脚本賞を受賞しています。監督作は『島のならず者』『三十六時間』

 

 

■特別招待

 

リヴ・ウルマン(女優/ノルウェー)

イングマール・ベルイマンの元パートナーであり、ミューズ。現在79歳の彼女は、『ある結婚の風景』『秋のソナタ』『鏡の中の女』『ベルイマン監督の 恥』『移民者たち』などの多くの出演作で数々の賞を受賞してきました。ベルイマン脚本の『不実の愛、かくも燃え』では監督を務め、カンヌ国際映画祭に出品しました。露出の多くない彼女の姿を拝めるまたとない貴重な機会です。

個人的にこれはぜひ参加したい!!

 

ベルナール・ラヴィリエ(歌手/フランス)

シネフィルと公言する他ジャンルの著名人によって映画を語るという多角的な企画の一つ。

 

 

■企画上映

 

マックス・ランデー(俳優、映画監督、プロデューサー/フランス)

1883年生まれのフランス・サイレント映画の喜劇王。1910年代に監督・脚本・主演映画を精力的に発表し、フランスの人気スターとなった。独創的なアイデアや練られた脚本、コミカルでダイナミックな演技など後世に与えた影響は大きい。山高帽・ステッキ・紳士服が特徴的なランデーのスタイルは、かのチャールズ・チャップリンがモデルにした人物としても知られています。

 

ロベール・アンリコ(映画監督/フランス)

『冒険者たち』『追想』『若草の萌えるころ』『ラムの大通り』『夏に抱かれて』などで知られるロベール・アンリコの知られざるテレビシリーズを上映予定とのこと。

 

『2001年宇宙の旅』70mmフィルム上映

今回の映画祭の目玉企画がこれ。大きなシアターで上映予定だとか。

 

 

 

■サイレント映画の黄金期

 

コンサートホール「l’Auditorium de Lyon」でのシネ・コンサート

 

カトリーヌ・エスラン

ジャン・ルノワールのミューズ、カトリーヌ・エスラン。画家のピエール=オーギュスト・ルノワールの最後のモデルであり、その息子ジャン・ルノワールの最初の妻でもあります。『女優ナナ』『マッチ売りの少女』『カトリーヌ』等に出演。

 

ルネ・クレール

1898年生まれのフランス・クラシック映画を代表する監督の一人。代表作は『自由を我等に』『ル・ミリオン』『巴里祭』『夜ごとの美女』『夜の騎士道』など。『巴里の屋根の下』発表以前の初期のサイレント作品を上映予定。

 

バスター・キートン

The Scarecrow

1895年アメリカ生まれの、世界の三大喜劇王の一人。

短編『キートンのスケアクロウ(原題:The Scarecrow)』の中のワンシーン、仕掛け部屋の食卓を囲む1分ほどのサンプル映像が上映され、会場が爆笑していました。食卓にあるすべてのアイテムが天井から紐でつるされており、二人の人間がそれをうまーくパスしたり戸棚にしまったりする様子が可笑しくて可笑しくて。

 

 

■特別企画

 

“歌う”カトリーヌ・フロ(女優/フランス)

『偉大なるマルグリット』で音痴な歌姫マルグリットを好演したカトリーヌ・フロでしたが、実は素敵な歌声をお持ちだとか。映画を称えるリサイタル。

 

 

■マスタークラス

 

映画祭開催中、毎日リヨンのどこかしらで行われる映画人によるマスタークラス。2016年はマッツ・ミケルセンやパク・チャヌク、昨年はティルダ・スウィントンやギレルモ・デル・トロ、アンナ・カリーナだったり。今年は誰が来てくれるんでしょうか。発表は9月。

 

 

■映画批評家ミシェル・シマンによるワークショップ

 

御年80歳、映画批評家・研究家・ジャーナリストとして活躍し、大手メディアに寄稿するとともに多くの著書を出版してきた重鎮ミシェル・シマンによるワークショップ。ほぼ毎日開催されるこの企画では、映画を観て、ディベートし、自分の言葉で語り、書くことを学べる企画とのこと。

 

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メイン・プログラムは上記の通りで、まだ企画段階のその他小さなイベントがいくつも開催予定とのこと。

中国の映画監督キン・フーの特別上映やオールナイト上映企画もあるとか。

恒例行事のリュミエール兄弟監督作『工場の出口』のリメイク企画もおそらくあると思いますが、今回のプレゼンでは触れていなかったなあ…。

 

プレゼンの最後に、様々なグッズ紹介もありました。フランスのデザイナージャン=ポール・ゴルチエが手掛けたというオリジナルTシャツなど。

グッズ販売とワインサービスで、プレゼン直後の会場は熱気と会話の嵐でごった返していました。

プレゼン直後。

 

 

早くも盛り上がりを見せるリュミエール映画祭。

世界中の映画人やシネフィルが一堂に会するリヨンの10月(開催期間は10月13日から10月21日)。街中が映画一色に染まる9日間となることでしょう。

興味ある方はぜひリュミエール映画祭に足をお運びください!

 

 

画像引用元:

http://www.festival-lumiere.org/

http://www.cinematheque.fr/article/1031.html

https://en.wikipedia.org/wiki/Richard_Thorpe

https://www.sansebastianfestival.com/2018/sections_and_films/classic_retrospective/1/7151/in

https://cinemathequemelies.wordpress.com/2017/12/02/nos-films-liv-ullmann/

https://www.imdb.com/name/nm0381642/mediaviewer/rm3933207296

http://fallenrocket.blogspot.com/2016/01/the-scarecrow-1920.html

 

田中めぐみ

World News担当。在学中は演劇に没頭、その後フランスへ。TOHOシネマズで働くも、客室乗務員に転身。雲の上でも接客中も、頭の中は映画のこと。現在は字幕翻訳家を目指し勉強中。永遠のミューズはイザベル・アジャー二。