「大阪アジアン映画祭 2018」日記1(伊藤ゆうと)


「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」をテーマに昨日から始まった本映画祭、
Indie Tokyoでは、鑑賞した作品の感想をリレー形式で投稿します。
 

“Newton” – Amit V Masurkar

 
☆作品解説
補欠公務員のニュートンが選挙管理委員として派遣された先は、投票者がたった76名のチャッティスガル州のジャングルの中の投票所。その地を根城にテロ活動を行う毛沢東派武装集団が選挙の妨害を予告する中、やる気のなさそうな治安部隊や選挙にまったく関心を示さないジャングルの住民を相手に、自由で公正な選挙を遂行すべく、規則どおり四角四面に選挙の手順を踏もうとするニュートンだったが…。
 
 
トップバッターはムンバイで活動中のアミット・マスールカル監督作品「Newton」
マスールカル監督は「The Great Indian Comedy Show」や「Chaar Din Ki Chandni 」「Murder 3」などで脚本を担当。 
2014年に低予算コメディ映画「Sulemani Keeda」では監督としてデビュー。
同作はマスールカル監督がボリウッドのスクリーンライターとして認められるきっかけになり、商業的にも成功を収める。
本作「Newton」はマスールカル監督の2作目となり、インド政府公式作品として2017年のアカデミー賞外国語部門に出品された。
 
主演のラージクマール・ラーオの演技がとても笑えた。例えば、ニュートン一行が奇襲に遭って逃げる中、投票を希望する現地住民に遭遇する。同行する護衛の治安部隊には帰路を促されるものの、投票時刻が残り5分あることを理由にジャングルの真ん中で彼らの名前を名簿と照らし合わせて投票を始める。真剣な場面にもかかわらず何故か笑えてしまう。他にもデッドパンと呼ばれる無表情で笑いをとるスタイルのジョークが多く見られた。インド人のコメディといえばアジズ・アンサリの人懐こい微笑みに代表されるものが知られている中で「ニュートン」のような映画はボリウッドコメディの新たな幕開けを感じさせた。
 
☆次回上映

3月15日(木) 19:10 ABCホール

 
 

“A better tomorrow 2018 ” – Ding Sheng

☆作品解説
カイは、弟のチャオに船乗りと偽り、若い頃から黒社会で密輸業をしてきた男。台湾からきたマイクとは義兄弟の仲だ。父の介護をしながら大陸で警察官をしているチャオは、家族ために働いてきたカイに厚い信頼を寄せていたが、偶然レストランで抗争に出くわし、発砲の挙句捕まえた容疑者がカイだったことに愕然とする。カイが持つ重要データを狙う追っ手は自宅にいた父親を殺害。チャオはカイのことを激しく憎むようになるのだった…。
 
 
本作はジョン・ウー監督のオリジナル作品「男たちの挽歌」 (1986)を元にしたリメイク。
リメイク版の監督はディン・シェン監督、代表作品は「ラスト・ソルジャー」や「レイルロード・タイガー」など。
ディン・シェン監督は「ポリス・ストーリー/レジェンド」などでオリジナル作品「ポリス・ストーリー/香港国際警察」(1983)のリメイク版を制作するなどの経験があり、本作も注目を集めている。
 
オリジナル作品を見ないで本作に挑んだ。鑑賞の際に隣にいたマダムのリアクションを楽しむことが出来た。オープニングから前作のテーマ曲が流れ、思わず会場は嘆声で溢れた。カイと義兄弟のマイクが階段を背中で滑りながら発泡するシーンでは観客は興奮で身を前に乗り出していた。隣のマダムが大きく頷いていたことから、オリジナル作品を愛するファンへ捧げたオマージュのようなものだと察した。その時には、僕はジョン・ウーの熱心なファンではないことに後悔をしていた。二時間に及ぶ作品の全編は大好きな銃撃戦と兄弟愛に溢れていた。
 
 
☆次回上映

3月15日(木) 19:00 シネ・リーブル梅田4

伊藤ゆうと

イベ ント部門担当。平成5年生まれ。趣味はバスケ、自転車。(残念ながら閉館した)藤沢オデヲン座で「恋愛小説家」を見たのを契機に 以後は貪るように映画を観る。脚本と執筆の勉強中。