record1 グザヴィエ・ドラン監督の最新作『Mommy』のなかに、オアシスの”ワンダーワォール”がBGMとして使われているシーンが登場しました。曲の効果は絶大で、観た者の心を動かし、すでに映画史に名を残すとも言われるほど評判になっています。このように、音楽が映画にもたらす可能性というのは無限であり、映画においてかなり重要な要素であることがわかります。しかし、時にその楽曲の使用権を巡ってトラブルが起きることもあるようです。

楽曲を映画のなかで使えるようにする過程とそのルールを挙げている記事を紹介します。

 多くの映画監督は、楽曲の使用権を獲得するまでの過程が複雑でコストがかかると理解していない。すべての曲は、著作権を持つ者と所有権を持つ者の双方の許可がおりて初めて使うことができる。曲の製作に複数の人が携わっていた場合はちょっと厄介なのだ。例えばケイティ・ペリーの”カリフォルニアガールズ”は5人の制作者がいるので、この楽曲を使いたい場合は所有権を持つケイティ・ペリーを含め、6人に許可をとらなければならない。一人でも拒否したらこの楽曲は使えないのだ。

 ここで、様々な映画の音楽監督を務めるブルック・ウエンツが教える楽曲使用権の6つの秘密を挙げることにする。

1 映画祭に出展する場合、作曲者と所有者に500ドルずつ支払う必要がある。
2 一曲丸々使おうが、ワンフレーズのみ使おうが、支払額は一定である。(ただしクレジットで使われる曲は例外)
3 交渉次第で料金は安くできる。
4 曲を公的なものだと思っていたら再確認。
5 作曲者や所有者から返答がなくても、使用権がはっきりするまで交渉を続けるべき。
6 音楽ドキュメンタリーを撮るときには事前交渉が必要である。

 ブルック・ウエンツの会社、The Rights Workshopでは、映画制作者が楽曲の使用権を確保する手助けをしている。また、楽曲の所有者を検索できるwebサイトを利用するのも便利だ。

 最近では監督自らが楽曲使用権を確保することもあるそうです。映画製作者に音楽の使用権についての知識があれば、専門家を雇うコストを節約したり、交渉して減額してもらったりすることもできるのです。また、楽曲の使用権の獲得にはお金も手間もかかることを監督が理解していれば、生半可な熱意で楽曲を使うことはなくなるでしょう。熱い思いで選んだ音楽を使っている映画に名作は多い。楽曲使用権について知識を持つことは、一見良い映画を作ることとは何の関係もないように見えるが、実は深いところで影響を与えているのです。

http://www.filmindependent.org/blogs/the-filmmakers-guide-to-music-licensing/#.VVKg3EuFXiu

原山果歩 World News部門担当。横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程所属。ウディ・アレンとウィキッドとチーズと緑色。マイブームはガーリー映画。


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