2015年5月13日から24日にかけて開催される第68回カンヌ国際映画祭にて、女性映画監督の活躍が注目を集めている。
今年のカンヌ映画祭は女性映画監督の作品から始まることとなった。作品は、フランスの女性監督、エマニュエル・ベルコの『La Tete haute』。この作品は、非行少年マロニーの6歳から18歳までの歩みと、彼を助けようとする大人との関係を描いている。女性判事としてカトリーヌ・ドヌーヴが出演し、エマニュエル・ベルコとは『On My Way』以来のタッグが見られる。女性監督の作品が開幕上映となるのは 1987年以来、実に28年ぶりのことだ。(ちなみに最後に開幕作品として上映されたのは、ディアーヌ・キュリスの『A Man in Love』。)
また、カンヌ映画祭と並行して開かれる監督週間(The Director’s Fortnight)において3人の女性映画監督の作品が上映される。監督週間とは、カンヌ映画祭とは別の、フランス監督協会(The French Director Guild)という組織が運営するインディペンデント部門のことである。全17作品のうち、女性監督の作品は
クロエ・ツァオの『Songs My Brothers Taught Me』、
マルシア・タンブーティーの『Beyond My Grandfather Allende』、
デニズ・ガンゼ・エルグウェンの『Mustang』の3作。
一方でフランス映画批評家組合が主催する国際批評家週間においては、性差別主義に立ち返り、選ばれた10作の中に女性監督の作品は含まれない。女性監督が少しずつ注目を集め、性別による判断が薄れる中、映画監督=男性という考えが残っていることも忘れてはならない。
評価されている女性映画監督が少ないことについては以前から議論になっている。女性監督が評価されるたびに話題にのぼるのは未だ珍しいこととして見なされている証拠である。また、「女性映画」という括りを耳にすることがあるが、女性監督の作品がまとめてジャンル化されていること自体悪しき慣習だ。才気あふれる女性映画監督の台頭と公正な周囲の評価に期待したい。
http://blogs.indiewire.com/womenandhollywood/three-women-directors-to-be-featured-in-cannes-2015s-directors-fortnight-20150421
http://blogs.indiewire.com/womenandhollywood/cannes-2015-announces-all-male-roster-for-critics-week-program-20150420
http://blogs.indiewire.com/womenandhollywood/cannes-2015-to-kick-off-with-first-woman-directed-festival-opener-in-28-years-20150413

原山果歩 World News部門担当。横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程所属。ウディ・アレンとウィキッドとチーズと緑色。マイブームはガーリー映画。
コメントを残す