メタルギアシリーズの生みの親として知られる小島秀夫監督の最新作「Death Stranding」が発売された。コナミデジタルエンタテイメントから独立し、自身が立ち上げたコジマプロダクションにてゲーム制作を務め、2016年にE3で本作のトレーラーが公開してから3年間という月日が経った。 こうしたビデオゲームの超大作がハリウッド映画の広告手法をとっているとNYT記者ローラ・パーカ氏は指摘し、ビデオゲーム業界の市場規模が計り知れないことを強調した。広告調査会社NPDグループによると、アメリカ国内の消費者は昨年420億ドルをビデオゲームに投じたと報じられている。ストリーミングサービス各社はゲーム業界を競争相手とみなしている。Netflixは出資者に対する手紙で人気ビデオゲーム”フォートナイト”が2年間に40億ドル以上を取り込んだことを例に挙げて、それに関連付けて「わたしたちはHBOというよりも、フォートナイトに負けるのだ」とコメントをしている。

 

ハリウッド映画とビデオゲームの広告手法は類似する点が多い。そう指摘するのはThe Marketing Arm agencyのスティーブ・マイヤー氏だ。たとえば、コーナン・オブライエンがホストを務めるトークショーでは、発売前に監督のオフィスで自らのキャラクターがモーションキャプチャーによりゲーム内に反映される様子を番組にした。番組の影響力はアメリカ国内で非常に大きい。またティーン世代を中心に大人気のアニメRicky&Mortyでは本作をパロディにしたコマーシャルが製作された。こうしたテレビ番組で作品の情報がティーザーとして公開されることで、発売前から内容に関する推測をさせる手法が使われている。“ゲームが認知されることと、映画が広告されることは明確な平行線が引かれている”とスティーブ・マイヤー氏は語る。

 

エンターテイメント業界で人材の行き来が行われている。「Uncharted」「The Last of Us」などヒット作を輩出しているNaughty Dogが次回作の制作にHBOシリーズ「Westworld」脚本家のハーレイ・グロス氏を招いたと発表した。すでに「Uncharted」はマーベルシリーズ「スパイダーマン」新作で主人公のピーター・パーカーを演じるトム・ホランドを招いて映画化されることが発表されており、モーションキャプチャーを利用した映像作品が今後もますます増えそうである。「Death Stranding」主人公サムにはテレビシリーズ「Walking Dead」で人気のノーマン・リーダス、デンマーク出身マッツ・ミケルセン、レア・セドゥなど豪華な俳優が連ねている。

 

平均して50〜60時間はゲームクリアにかかるという、本作のレビューだが、ゲームレビューサイトKotakuでは”もったいぶったナンセンスが多い”としながらも高い評価を与えている。Polygonは”長く、理解しにくい、実に奇妙な映画だ”と評した。IndieWire誌は本作を「いままで作られたビデオゲーム映画の中で最高傑作だ」と評した記事を公開した。

『Death Stranding』は彼のキャリアの気質を抽出したようなある一句から始まる。安部公房の短編『なわ』にある重要な一文が謎の現象ビッグバンに関するナレーションで使われている。 小島監督は同小説を参照し“縄と棒は人類の最も古い2つの発明だ”と2016年のE3でIGNのインタビューに語った。『棒は人間が自分と悪いものの間に距離を置くために生み出した最初の道具だと安部公房は書いています。自分を守るためにです。そして二番目に生まれた道具は縄だと彼は書いています。縄は自分にとって大事なものを守るための道具です。』 多くのゲームはコントローラーを棒としています。シネフィルの小島秀夫は映画監督になる夢を諦めて、スクリーンの向こう側に物語を届けられる方法を追求し、コントローラーを縄にしました。 “勝者と敗者にプレーヤーを分断するようなゲームを私たちは必要としていません”小島監督はかつてローリングストーン誌でのコラムにそう書きました。“しかし違う次元で繋がりを創造します。”

 

コジマプロダクション設立の第一作目として“配達人として孤立した人々に荷物を届ける”という不可思議なストーリーを成功に収めた。こうした事が可能だった背景には、ギレルモ・デル・トロ監督との交友や、監督に魅了された優れた俳優たちがいる。やはり大きいのは、長い年月を経ても作品の登場を信じ続けたファンの存在なのかもしれない。

The Video Game Death Stranding Arrives After an Elaborate Ad Campaign

 

Video Game Creators Seek Out Hollywood for Robust Narratives

 

 

 

https://www.indiewire.com/2019/11/death-stranding-review-best-video-game-movie-1202186590/

 

伊藤ゆうと

イベ ント部門担当。平成5年生まれ。趣味はバスケ(閉館した)”藤沢オデヲン座で「恋愛小説家」を見たのを契機に 映画を観始める。Podcastを作りながら国際関係・政治などジャーナリズムの勉強中。


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