クラシック映画とインディペンデント映画に特化した配信サービスFilmStruck(日本はサービス対象外)が、11月29日をもって終了することが発表された。往年の名作からハリウッド以外の外国映画、近年のインディペンデント映画までを網羅し、映画ファンの熱烈な支持を集めていたサービスだったが、運営元の方針変更により、終了となることが決定した。終了のニュースを受け、映画関係者を中心とし、惜しむ声が広がり、存続を求めるキャンペーンが始められた。デジタル時代における非メジャー映画の見せ方・見られ方とは…

「FilmStruckが非常に忠実なファン層に支えられていたのは事実ですが、やはりニッチなサービスに過ぎませんでした」。運営元のTurner and Warner Bros. Digital Networksは、声明の中で語る。[1]

2016年に開始された同サービス上で、自社のライブラリー作品を公開するCriterion Channelを提供してきたCriterionは、サービス終了のニュースを受けて、次のような声明を出した。「2016年にCriterion Channelを始めた時、私たちには2つの目標がありました。私たちの所有する全てのストリーミング可能作品を視聴可能にしておくこと、そして、私たちの声を直接観客のみなさんに伝えることでした」。今後の計画は白紙としながらも「出来る限り早く、私たちのライブラリー作品、そしてオリジナル作品が、ネット上で見られるよう、道を模索していきます」。[2]

FilmStruck終了が発表されると、映画関係者たちが次々と終了を惜しむコメントを出し、「Keep FilmStruck Alive」というキャンペーンがchange.org上で開始され、11月4日現在、2万人を超える賛同者を集めている。「FilmStruckは単なるニッチなマーケットではなく、過去の芸術作品を現代に蘇らせるための膨大なアーカイブなのです。まさに美術館が何世紀も前の芸術家たちを血の通ったものとして扱っているように。だからこそ、存続されるべきです。単なる古い映画の愛好家のためだけのものではなく、今後、数世代にわたって、新しいファンを生み出していくもの、そして、その過程で、視聴者に新しい発見をもたらす可能性を秘めているものなのです」と締めくくられる長いメッセージとともに、発信者のKevin Bahr氏はこのキャンペーンを始めた。[3]

以下、Twitterより引用する。
「FilmStruckを『悼む』のはやめろ。何か『行動』を起こすんだ――嘆願書にサインを!もう1.6万人のサインが集まった(僕のも含む)」-ギレルモ・デル・トロ(@RealGDT)
(Warner Media Groupに宛てて)「FilmStruckを終了させるという、あなた方の決断にはとても失望させられました。熱心な映画愛好家にとってはもちろんのこと、急速に映画愛を深めつつある、幅広い年齢層のシネフィルたちにとっても、愛情を持って選ばれた作品たちを見ることができる代えがたい場であり、それ自体が一つの芸術資料となっているものなのですから」-イライジャ・ウッド(@elijahwood)
「いまだに僕がDVDとかブルーレイを買っていて、フィジカルメディアに執着しているのを見ると、戸惑ったような反応をする友達が時々いるんだけど、理由はこれ。配信されている作品は一瞬で消えるから。数多くの作品を網羅していて、クラシック映画を配信するような所はほとんどない。悲しいことだけど、FilmStruckは一番だった」-エドガー・ライト(@edgarwright)

今年、通信大手AT&TによるTime Warnerの買収により誕生したWarnerMediaは、FilmStruckの終了に先立ち、コメディ専門の配信サービスSuper Deluxe、韓国作品に特化したDramaFeverを終了させており、今後、HBO等のコンテンツを含む、総合的なエンターテイメントの配信サービスを開始する予定とのこと。[4] [1] https://www.indiewire.com/2018/10/filmstruck-shuts-down-criterion-collection-1202015464/
[2] https://www.criterion.com/current/posts/6008-news-about-filmstruck
[3] https://www.change.org/p/warnermedia-keep-filmstruck-alive
[4] https://www.forbes.com/sites/robsalkowitz/2018/10/26/att-hangs-up-on-filmstruck-because-in-2018-we-cant-have-nice-things/#fa47f1c5b20d

佐藤更紗
国際基督教大学卒。映像業界を経て、現在はIT業界勤務。目下の目標は、「映画を観に外へ出る」。


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