femme-fatales,SXSW女性映画監督が少ないことは、映画業界が抱えている問題のひとつだと思います。このことについては、いままでIndieTokyoで何度か取り上げてきました。Film Fatalesは、そうした映画業界のジェンダーに抵抗しながら映画を作っていく女性作家集団です。

SXSWで行われたプレゼンに先駆けてIndiewire誌にLeah Meyerhoff監督のインタビューが載りました。そこで語られたことをもとにしながら今回は、FilmFatalesについて紹介できればと思います。

FilmFatalesとは 「女性の集団です。主に物語映画の監督たちがいます。もちろん同じようにドキュメンタリーの監督たちも。ただし、定期的に集まってお互いに助言を交わし、支えあい、プロジェクトを共同させ、そして助け合いながら自分たちの映画作りが出来る環境を作りあげる。私たちはそうしたことが可能なネットワークを持つ女性集団、ということになります。」※1

どのように始まったのか 「一年半より少し前くらいのこと、自分の映画『I believe in Unicorns』のプリプロをしているときでした。私はみんながするように、自分以外の監督に対して呼びかけました、「ねえコーヒーでも飲みに行かない、良い案があるんだけど、いま映画を撮りはじめようとしていて」などと。すると、特に女性監督たちが乗り気だったのです。ですから、私はディナーパーティーを開くことに決めて、そのうちの6人を私の家に招待することにしました。Paola Menedoza, Deborah Kampmeier, Ry Russo-Young など・・・私がNYで知っている女性監督たちです」※1

「(そのうち)全員が来てくれて、私は料理を振舞いました。そして一時間くらい映画について、自分の経験から出てくる教訓や、俳優じゃない人と仕事をすることなど、あらゆることを語り合いました。最後のほうには、価値のあり、生産性のある話になっていったのです。するとあるひとりが言い出しました、「もう一度やりましょう、私が来月の企画をします」、そしたら別のひとが「その次はわたしがやります」と言いはじめ、会はだんだんと毎月開催されるようになっていきました。談話形式の会でローテーション形式に開催され、口コミで広がって多くの人が参加したい、ということになり、今では爆発的に成長しています。」※1

このように、毎月開催される語り合う場をベースにして女性の監督集団が出来上がっていったのです。現在では、トロント、ロンドンやシドニーなど世界に広がっており、その成長速度はびっくりします。また、基本的にボランティアで語り合う会を行っていることから、より広く柔軟に助け合うことの出来る集団になっているようです。

別の記事でFilm Fatalesに関して、Athena Film Festivalのパネルディスカッションで面白い論点が出たことが報じられていました。合わせて紹介します。

「議論の中で映画学校についての話が出てきました。何人かのパネリストたちは映画学校に行っていません。代わりに、Do-it-yourselfメソッドを映画監督になるために取り入れています。Film Fatalesのような集団で驚くことは、他の人が映画学校から受けるような制作支援やアイデアを自分たちで手にすることです。もちろん映画学校で、自由に機材が使えたり実験が出来る環境などとともに、整った教育を受けることが出来ることと比べて、このようなDIY集団で必ずしも同じものを手にすることが出来るとは限りません。しかし、こうした集団は、映画学校で映画を撮れないひとたちを、みんなで支えることによって同じレベルまで行くことが出来るようにします。自分のやっている仕事を信じているからです。」 ※2

女性たちが共同して集まるのは、もともと映画業界の中で女性監督が少なくみんな孤独であり協力者を求めていたから、とも語られています。こうした、女性たちの繋がりから新たな映画がたくさん作られていく状況は素直に喜ばしいことだと思います。というのは、ここには多くの創造的な可能性があるように思えるからです。彼女たちの、これからの活躍にも注目して行きたいです。
※1 http://www.indiewire.com/・・・/attention-female-filmmakers・・・

※2 http://blogs.indiewire.com/・・・/working-together-to-make・・・

 

アーティクル部門担当、横浜国立大学人間文化課程3年、映画雑誌NOBODY編集部員、舞踏公演『グランヴァカンス』大橋可也&ダンサーズ(2013)出演、映画やインスタレーションアートなど思考するための芸術としてジャンルを定めずに制作活動を行う。

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