ヴァル=ド=ルイユで7月20日から22日まで開催された第1回Brache & Ciné映画祭の開幕式で、宮崎駿のインタビュー映像が上映された。フランスの女優であり、この映画祭のスポンサーであるジュリエット・ビノシュと対談したものだ。

インタビューの様子は以下のように映し出された。

“長い木製のテーブル、石炭ストーブ、森を見下ろす窓。ここは宮崎駿のスタジオだ。半袖のシャツと白いエプロンを身につけた77歳の彼は、いたずらな笑顔を浮かべている。デニムジャケットを着て、髪をほどいているジュリエット・ピノシュはジャーナリストとして宮崎駿の隣に座っている。質問が書かれた書類は注意深くテーブルの上に置かれている。彼女はそれを少ししか見なかった。なぜならそれはインタビューではなく、アーティスト同士の対面だったからだ。彼らは自然、子供、闇の光について対話を交わした。”

森、それは宮崎駿の作品に遍在する要素である。これはジュリエット・ビノシュの最新作である河瀬直美監督『Vision』(2017)のテーマでもある。奈良にある森の中心に997年に一度、ハーブを探すために訪れる男女の物語である。ジュリエット・ビノシュは木々に魅了され、多くの写真を撮り、絵を描いている。

ビノシュは宮崎駿に「お気に入りの木はありますか?」と聞いた。宮崎は振り返り、窓を指差し、「わたしの後ろにある木はトーチの木です。この家を所有していた家族がここに植えるために山から持ってきたのです。150歳です」と言った。これは『となりのトトロ』(1988年)の出発点ともなっている。すべてのインスピレーション、宮崎の天才はわたしたちの周辺、自然の中にある。

ジュリエット・ビノシュはこのように、宮崎駿の私的な人物描写を伝える。彼女は芸術家の映画に見られる喜びを主張し、その中に宮崎の幼年期を見る。ビノシュは「これほど親密で明白な子供と意識の関係は宮崎監督の映画の中でわたしを感動させる」と言う。しかし、宮崎は ”少し苦しい” 子供時代と表現している。それは作品に少し影を落としている。女優は笑顔で答える。「子供の不足感や不明瞭さが私たちをクリエイターにしてくれると確信しています。」彼はそれに同意した。

彼にとって、ジュリエット・ビノシュが語る喜びは実在する2人の姪に由来する。彼女たちは『となりのトトロ』(1988年)のメイと『千と千尋の神隠し』(2001年)の千尋の人格に影響を与えている。「彼女たちは喜びを解放することに気づかない。叔父として、すべての喜びが解放されるのを見ている」と言う。

最後に宮崎は親しい仲間の1人が亡くなったことを振り返る。スタジオジブリの共同設立者である高畑勲だ。「傷はまだ癒えていません」と宮崎は語る。ビノシュは「きっと次のあなたの作品は、絵を描き、映画を作り、賞賛し合い、ときには競い合い、愛し合い、拒絶し、しかしお互いを必要とする2人の兄弟の物語でしょうね」と答える。

宮崎はすでに次の作品を制作している。「主人公は孤独な少年です。彼は見失った自分の世界を取り戻そうとしている。私がこの種のキャラクターを作ったのは初めてです」テクノロジーに支配されている現代世界の批判だろうか。「あなたが住んでいる社会は本当に無神経だ」と宮崎は声を強めた。

■ジュリエット・ビノシュ出演
河瀬直美『Vision』6/8より上映中
http://vision-movie.jp/

■参考:
http://www.onf.fr/
http://www.onf.fr/++oid++6450/@@display_advise.html
http://www.lefigaro.fr/cinema/2018/06/20/03002-20180620ARTFIG00308–l-ombre-des-arbres-hayao-miyazaki-et-juliette-binoche-nouent-un-dialogue-inedit.php
https://actu.fr/normandie/val-de-reuil_27701/mercredi-20-juin-cinema-val-reuil-rencontre-le-dessinateur-miyazaki_17343782.html

兒玉奈々
World News担当。映画に出てくる女優さん、ダンスシーン、音楽が大好きです。


2 Comments
  1. 兒玉奈々さんは、この映像を実際に見たのですか?
    もし映像を見てもいない人間が、よそのサイトの切り貼りだけで記事を書いたとすれば、当然、中身の検証もできていないわけですよね。

    そんな、無責任な記事を出すことについて、Indie Tokyoも編集部はどうお考えなのでしょうか。

    • IndieTokyoをお読みいただいてありがとうございます。
      編集部としてお答えします。
      複数のソースで確認された情報を、その原典を明確に表示しつつ記事としてまとめることはジャーナリズムのあり方として正当なものです。例えば、事故の報道記事を書くことができる者は、その事故に立ち会った者ばかりではありません。しかも、この記事の場合は海外からの翻訳記事である訳で、その意味でも国内で報じられる価値は高いと考えます。
      国内映画メディアが芸能情報のような記事ばかりを伝え、海外での動きが一向に伝わらなくなっている昨今、学生や若い映画ファンを中心としたボランティア活動によって当サイトは運営されております。至らない部分も多いかとは思いますが、温かい目で見守っていただければと思います。

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