今年のカンヌ国際映画祭では、Netflixの作品がコンペティション部門の選考から除外されることが発表され、Netflix側もまた同映画祭からの撤退を表明した[1]。そんなフランスにおいて、新たな動画ストリーミングサービスが登場するという。

 

 6月15日、フランスのテレビ局3社(フランステレヴィジョン、TF1、M6)は、Saltoという新しいビデオプラットフォームを発表した。これはネットフリックスやAmazonプライムビデオなどに対抗する新たなオンライン上のストリーミングサービスであり、インターネット回線を通じてコンテンツを提供するOTT(Over The Top)という形態をとる。

 フランスでは、競合他社による提携は初めてのことであるというが、他の国ではすでに実験が試みられている。たとえば2007年にアメリカで発表されたHuluはNBC Universal、21st Century Fox、Walt Disney Companyを集めている。またイギリスのBCC、 ITV、Channel 4、 Skyの4社も2002年からFreeviewを開始している。

Netflixは2014年9月にフランスでサービスを開始してから毎月10万人の新規加入者を獲得し、現在ではおよそ350万人が加入しており、将来的にフランスの有料民放で950万人以上が加入するCanal +を追い越す可能性がある。リベラシオンによると、Saltoの目標はこのNetflixと競合することであるという。

 

 Saltoは、既存の3つのチャンネルのすべてのテレビ番組や、フランステレヴィジョンが制作する75%の映像作品、そして未公開の番組などを配信しながら「比類なき多様性variété sans égal」を目指すという。

 現時点ではサービスの開始日や料金などは発表されていないが、フランスの新聞フィガロによれば、2段階の価格が設定されるという。月額1ユーロから1.99ユーロの契約では、3チャンネルのライブ放送とやや制限されたコンテンツが、6.99ユーロの契約ではすべての動画コンテンツが利用できるという。これはNetflixの8〜14ユーロと比較して安価であることがわかるだろう。言うまでもなく、日本でのサービスはまだまだ先であると考えられる。

 すでに無料で放送されている3チャンネルにわざわざお金を払う人がいるのだろうか?という疑問の声も上がっているようだが、フランステレヴィジョンのジュリアン・ヴェルレイ氏は「編集された集められたものに価値があると信じている」と語っている。しかし顧客を惹きつけるためには、Canal +やNetflixのようにオリジナル作品を制作しなければ成功しないだろう。Saltoもまたオリジナル作品を制作するというが、それは次の段階に至ってからのことであるという。

 

 

[1]http://indietokyo.com/?p=8041

フランス発の新たな動画ストリーミングサービスSaltoとは

参考Webサイト

https://teleobs.nouvelobs.com/actualites/20180615.OBS8209/salto-le-netflix-a-la-francaise.html

https://www.lemonde.fr/actualite-medias/article/2018/06/15/france-televisions-tf1-et-m6-vont-creer-une-plateforme-commune-de-video-en-ligne-pour-contrer-netflix_5315418_3236.html?utm_campaign=Echobox&utm_medium=Social&utm_source=Twitter#Echobox=1529048603

https://www.francetvinfo.fr/internet/streaming/netflix/salto-le-netflix-francais_2803875.html

http://www.liberation.fr/france/2018/06/15/salto-comment-faire-du-payant-avec-du-gratuit_1659585

 

板井 仁
大学院で映画を研究しています。辛いものが好きですが、胃腸が弱いです。趣味は寝ること、最近よく聴くフォーク・デュオはラッキーオールドサン。

 


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