ハーヴェイ・ワインスタインのスキャンダルの波紋はまだ収束する気配が見えない。彼の最初の報道を皮切りに、他の映画関係者のセクハラも相次いで告発され、ハリウッドはかなり混乱状態だ。この混乱は様々な映画関係者に影響を与え、クエンティン・タランティーノもその被害者の一人だ。

 タランティーノが新作に向けて動いている。昔なら手間をさく必要のなかった製作者を探しているのだ。というのも、この新作が彼のキャリアのなかで初めてハーヴィー・ワインスタインと手を組まないことになるからだ。

 ワインスタインは長年タランティーノのパトロンであった。デビュー作である『レザボア・ドッグス』から『ジャンゴ 繋がれざるもの』『イングロリアス・バスターズ』を含む全ての作品をプロデュースしてきた。二人は親しい友人で、今年タランティーノが婚約を発表した際には婚約パーティーを彼のために開催したし、2015年にはタランティーノがニューヨークで警察の残忍行為に対する反対集会に参加したとして批難された際にはマイケル・ムーアとともに彼を擁護した。

 しかしワインスタインの無数の女優や会社の社員に対するセクハラやレイプのスキャンダルが明らかになり、ハリウッド業界を揺らがしている今、タランティーノは自身のキャリアの成功の大きな立役者であるワインスタイン・カンパニーとミラマックス更には170名にも至るそれぞれの会社のスタッフへの忠誠心とは裏腹に、彼らの元を去る決断を余儀なくされた。

 「やってきたことより(ワインスタインのセクハラに関してタランティーノ自身が講じてきたことより)もっとそれについて知っていた。」と、タランティーノはインタビューで語った。「単なる噂や、ゴシップ以上のものだった。又聞きでもなく、私は彼がいくつかそういうことをやっていたのを知っていた。自分が聞いていたことに対して、責任を取っていたらと願う。もし自分がやるべきことをやっていたら、それは彼と一緒に仕事をするべきではなかった。」と当時振り返りつつ、「今更何を言ったって、下手な言い訳にしか聞こえないだろうけれど。」と後悔の念を綴った。

 

 タランティーノは今、新作の製作のために出資とマーケティングと、配給などなどを担ってくれる新しいスタジオを確保することが必要だ。何にせよ、2019年公開に向けて、来年の中頃に映画の撮影が始まる。R指定作品を嫌うディズニーを除いて、全てのメジャースタジオが新作に興味を示している。「#9」(彼の9番目の監督作品になるからか)と現段階では呼ばれている本作は、ロマンポランスキー宅で女優シャロン・テートとその子供を殺害したことで有名な狂気殺人事件「マンソン事件」に関する物語となっていて、ブラッドピット、サミュエル・M・ジャクソンなどタランティーノ作品おなじみの俳優のほか、マーゴット・ロビーの起用の検討しているなど言われている。脚本の段階では商業的要素が強いとされ、もし過去の彼の監督作品に比較できるものがあるとすれば『パルプフィクション』になるだろうと言われている。

 

[参考]

https://www.theguardian.com/film/2017/oct/13/quentin-tarantino-harvey-weinstein-allegations

http://www.indiewire.com/2017/11/quentin-tarantino-ninth-movie-script-finished-studio-harvey-weinstein-1201893450/

http://deadline.com/2017/11/quentin-tarantino-new-home-studios-reading-number-9-harvey-weinstein-1202199806/

https://www.nytimes.com/2017/10/19/movies/tarantino-weinstein.html


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