フランスは、”YouTube税”なるビデオ税の課税対象拡大についての法令を、9月21日に公式に発表した。(*1)

ビデオ税とは?

アムステルダムに欧州の事業拠点を構えるNetflixなど、フランスでサービスの提供を行うも財務上は海外で登録されているサービスも含め、課金の有無に関わらず全てのデジタルプラットフォームは、2%のビデオ税を支払わなければならない。この法令は欧州委員会によって審査、承認されたもので、2018年1月1日から施行される。

課税対象となるのは勿論、Youtubeだけではなく、Canalplay、OCS(Orange Cinéma Séries)などフランス自国の大手動画プラットフォームを始め、Amazon、Dailymotion、Apple、iTunes、Facebookなど海外プラットフォームにまで拡がる。それらはCNC(Centre national du cinéma et de l’image animée)へ送られ、フランスのオリジナルコンテンンツ作成へと割り当てられる予定だ。

CNC代表取締役であるFrédérique Bredinはこう述べる。「これは文化的例外(文化に対して国家が一定の割合で経済原則から保護すべき例外だと考える立場)の大きな勝利だ。」「文化領域はデジタル税制のパイオニア的な取り組みになる。(この税体制を先駆けて行った)ドイツと共に、我々は海外大手プラットフォームを統合し、新しいコンテンツの資金を調達するのだ。」(*1)

初めてこのビデオ税が適用されたのは1993年。そして2004年には、Canalplayのような課金テレビチャンネルにまで課税対象が拡大。今回の法令内容のようなオンデマンドサービスまでの課税対象の拡大が議論され始めたのは、2013年であった。

可決された2016年までの間には、多々議論がなされていた。GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)は、他国(フランス)でも課税対象となることによる税制の重複によって、フランスでの事業展開その魅力を失わせるとし、この計画に反対。また、税収として見込まれるのは約100万ユーロと少ないこの法令について反対であった財務長官であるChristian Eckertも、海外企業から税収集は困難であることを懸念していた。(*4)

日本でも勿論、第四次産業として世界的に注目されるひとつとしての、オンラインオンデマンドサービス。それに伴う政治的動向に今後も注目して行きたい。

引用・参照
*1 http://www.lemonde.fr/economie/article/2017/09/21/la-france-imposera-toutes-les-plates-formes-numeriques-de-video-en-2018_5189037_3234.html
*2 http://cineuropa.org/nw.aspx?t=newsdetail&l=en&did=336350
*3 https://www.tax-news.com/news/France_Extends_Video_Tax____75315.html
*4 http://www.lemonde.fr/economie/article/2016/12/08/malgre-l-avis-du-gouvernement-la-taxe-youtube-adoptee-par-les-deputes_5045254_3234.html
*5 http://www.lemonde.fr/economie/article/2016/12/06/la-taxe-youtube-retente-sa-chance-a-l-assemblee-nationale_5044043_3234.html

三浦珠青
早稲田大学3年生。映画と本とエスニック料理が好きで、パリでタイカレーを作る日々。


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