中国の映画監督リウ・ジャンの第2作「Have A Nice Day」がベルリン国際映画祭で話題を集めている。
2010年の痛烈なデビュー作「Piercing 1」から引き続き、韓国が物語の舞台だ。

ベルリン国際映画祭2017の記者会見で彼のインタビューが行われた。以下に監督の冒頭あいさつを引用をする。
「私は絵描きの勉強を始めたが、2007年に映画の仕事を始めた。
私の背景には絵描きとしての面が濃く残っており、今もアニメーションを描きたいと思っている。」

 

 

 

 

 

彼のアニメーションは”ligne-claire”という手法を用いており、
「タンタンの冒険」で知られるエルジェが編み出した手法として知られている。
本作の背景や登場人物は”stark realism”的で、真実を積極的に明かそうとはしない。
手法においても、物語の設定にしても、
昨今のアジア諸国のアニメーションとは明らかに異なった傾向がある。

本作について前もって言うと「ゴッド・ファーザー」3部作のような、
物語の登場人物が最後には血塗られてしまうか、もっと悪い結末を迎えるかといったものだ。
映画は75分と短い。
にもかかわらず、アートハウス系の映画として愛好家に高い評価を得て、ベルリン映画祭にも名前が挙がった。

トルストイ「復活」からの引用で映画は始まる。
「春の街にあらわれる自然の兆候は、人類によってどのように根絶されてきたか」
イノセントな音楽と共にタイトルが始まり、この引用はエンドロールを迎えるころ、さらにはっきりとした調子で語りかける。

ハリウッドレポーターのレビューではジャン監督の本作について以下のように印象を語られる。
「ジャンルを越えて繰り広げられる、予期せぬ人物の交わり合いが互いに働きかけあい、

かなり頻繁に、文字通り彼らの車が交差する。彼らの手には、望み薄な大金への希望が握られているのである。」

まだ日本であまり紹介されていない、期待のアニメーション作家について、今回のワールドニュースではご紹介させていただいた。

本作はもちろん、今後の監督の作品が日本で公開されることを切に望んでいる。

★参考URL ★

http://www.hollywoodreporter.com/review/have-a-nice-day-977248(レビュー)

https://www.youtube.com/watch?v=IclcMzlg-zc(記者会見)

https://www.berlinale.de/en/programm/berlinale_programm/datenblatt.php?film_id=201718718#tab=filmStills(作品インデックス)

伊藤ゆうと

イベ ント部門担当。平成5年生まれ。趣味はバスケ、自転車。(残念ながら閉館した)藤沢オデヲン座で「恋愛小説家」を見たのを契機に 以後は貪るように映画を観る。脚本と執筆の勉強中。


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