今回ワールドニュースで紹介するのは、春節映画です。

春節とは、中華圏における旧暦の正月のことで、2017年は、本日1月28日が春節と定められています。

日本では現在は1月1日が正月ですが、
明治6年に陰陽歴が廃止されて太陽暦が導入されるまでは旧暦に行事を行っていました。
同年2月にキリスト教禁止令の高札(五榜の掲示)が撤廃されたことと関連があるのでしょうか。

(写真 『沈黙—サイレンス—』)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マーティン・スコセッシ監督、最新作の『沈黙—サイレンス—』は、

キリスト教の信者が異教徒としてみなされ、
迫害を受けていた17世紀の長崎が舞台になっています。
物語の舞台は日本の長崎ですが、ロケは台湾の陽明山で行われました。

記事によると、
監督は2014年の春節で初めて台湾に訪れ、
「多くの人がいて、ファンの目から隠すのに苦労した」と、
監督の来台プレミアでジェニファー・ジャオさんが話しました。

彼女は台北市映画委員会の代表で、2014年公開「ルーシー」では、
リュック・ベッソン監督を台湾へ招致した実績があります。
一見、明るいように見える台湾映画業界ですが、
政治問題が未来、台湾映画の進出を阻む恐れがあるとジャオさんは言いました。
「私は台湾映画の先行きを案じています、今は中国との政治関係がとても緊張しています」

春節、前後7日間が国民の休日とされていて、中国では家族で映画を見に出かける習慣があります。
前述したハリウッドの映画界はもちろん、近隣諸国にとっても、その市場規模は無視できません。
本日から公開される春節映画の一つに、ジャッキー・チェンの新作映画「カンフー・ヨガ!」があります。
舞台はインド、これまたジャッキーお決まりの財宝を探すお話で、
主題歌のMVやプレミアでは独特のボリウッドダンスを披露していました。

(写真 「サリーを纏った女性をバックに踊るジャッキー」)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年の11月には映画に貢献した一人として念願のオスカー像を手にいれたジャッキー、

「香港生まれであり、中国人であることを誇りに思う」と授賞式でスピーチをしました。
2016年は同じく香港出身のチャウ・シンチー監督が、
『美人魚』でアジア映画歴代興行収入No.1を樹立しました。
香港映画は連綿と世代公開を経ていくのが目に見えます。

ジャオさんのようなメディア業界人たちは、北京と台北の関係悪化によって映画産業が打撃を受けていると信じています。
最近では蔡英文総統が「一つの中国」について否定な姿勢を見せていることも手伝って、中国人から独立色が濃厚であるとレッテルが貼られています

「『台湾人が領土から逃亡した人々であり、反攻(記事ではretaliationと表記)を固く誓っている』そう思われて仕方ない現状が、台湾海峡の関係性(海峡両岸サービス貿易協定)悪化に影響を及ぼしている、映画業界も例に漏れない」と、ジャオさんは話しました。

(写真  陳玉勲『健忘村』)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TIMEの記事では、本日から公開の春節映画、
台湾のチェン・ユーシェン監督の最新作が中国国内で批判されていることを取り上げています。
『健忘村』のストーリーは、中国の清朝を時代背景に、ある村へ記憶を消すヘルメットを持った道教の男が現れる。
…というコメディ映画です。

『熱帯魚』『LOVE GO GO』など、台湾国内の人たちを映画にしていたユーシェン監督、
スー・チーやジョセフ・チャンなどのスターキャストに加えて、
香港のコメディ俳優ワン・チェンユェンが参加した本作にはどんな批判があったのでしょうか。

記事によれば、ユーシェン監督が台湾独立派であると、一部メディアが報じたとあります。
TIMEが参考にした記事は掲載されていないので、
苦肉の策で、繁体字で書かれた記事を中国人の知り合いに渡して訳してもらいました

「”反服”は日本でいうとTPPみたいなもので、この監督は、中国と台湾がこれを結ぶと、台湾に安いものが入ってきて台湾が潰れちゃうから、これに反対派だった。それなのに、中国へ行って、映画を撮ったから、いま、すごく批判を浴びてる」

ひまわり学生運動が盛んに行われていた2014年、
監督は当時の馬英九総統をFacebookで非難したり活動的だったので批難を浴びているのでしょう。

本日から公開の本作は、中台合作なのですが、どうなることでしょうか。

◆参考◆
http://time.com/464…/taiwan-silence-scorsese-movies-china/  [TIME] http://www.taiwannews.com.tw/en/news/3064084 [Taiwan News] 
http://usa.chinadaily.com.cn/…/24/content_28044247.htm [CHINA DAILY] 
https://www.youtube.com/watch?v=rLQ1V_H7vh4 [Oscar Speech]

伊藤ゆうと

イベ ント部門担当。平成5年生まれ。趣味はバスケ、自転車。(残念ながら閉館した)”藤沢オデヲン座”で「恋愛小説家」を見たのを契機に 以後は貪るように映画を観る。脚本と執筆の勉強中。


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