[444] 女性映画監督の勢いがすごい!注目の『Toni Erdmann』


今年は女性映画監督が輝いた年!東京国際映画祭でも女性映画監督が活躍した印象を受けました。それを根拠づけるようなニュースをVarietyにあがっていたので紹介します。

4人の女性映画監督たちの作品がトップ10入りを果たす一方、アメリカの映画批評家のお気に入り、『Moonlight』は2位。

映画批評家たちは、ドイツの映画監督マーレン・アーデの『Toni Erdmann(トニ・エルトマン)』が今年5月のカンヌ国際映画祭で評価されなかったことに驚いたことだろう。しかし、イギリスの映画雑誌「Sight & Sound」誌で年に1回発表される、批評家たちによる名誉ある映画ランキングにおいて『Toni Erdmann』をトップに掲げ、救援した。150人以上の世界中の映画ジャーナリストらによる調査で見事トップに選ばれたこの作品は、ドイツとオーストリアの共作の、うまくいっていない父と娘の関係を描く痛切なコメディドラマである。バリー・ジェンキンス監督の愛情深い同性愛を描く青年の成長物語『Moonlight』を2位に打ち負かして今年1番の映画に選ばれた。3位には、オランダの映画監督、ポール・バーホーベンの心理的スリラー、『Elle』が続いた。

これは『Toni Erdmann』の快挙の一部でしかないようだ。アカデミー賞外国語映画賞でドイツを代表してノミネートされ、受賞が期待されているほか、今月1日に発表されたニューヨーク映画批評家協会賞外国語映画賞を獲得した。また、今月10日に発表されるヨーロッパ映画賞にもノミネートされている。

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今年は女性映画監督らにとっても快挙の年であった。この投票ではアーデを含めて3人がトップ5にランクインした。アメリカの脚本家兼監督であるケリー・ライヒャルトは、3人の女性を中心にしたオムニバス映画『Certain Women』で4位、イギリス出身のアンドレア・アーノルドがアメリカ中西部の若者を描いた『American Honey』がそれに続いた。4人目はフランスの監督、ミア・ハンセン=ラブで、夫と離婚した女性の孤独を描いた『Things To Come』(『Elle』に続いてイザベル・ユペールが主演女優)でトップ10に食い込んだ。

「Sight & Sound」誌の編集者ニック・ジェームズは「この投票で女性映画監督の才能が芸術分野の高い水準において認められたことは喜ばしいことです。このことはSight & Soundの「Female Gaze」が、見落とされがちな女性監督たちにスポットライトを当てたことと密接に連動しています。また、このような女性軽視は今にも過去の産物となるだろうという意見を強めることになるでしょう。私はマーレン・アーデとケリー・ライヒャルト、アンドレア・アーノルド、加えてバリー・ジェンキンスとパワフルで女性中心的な映画を作ったポール・バーホーベンにお祝いの言葉を送りました」と語っている。

トップ10には他に、ケン・ローチの『I, Daniel Blake』——これは『Toni Erdmann』、『Elle』、『American Honey』を差し押さえてカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した―—、ケネス・ローナガンの『Manchester by the Sea』、ジム・ジャームッシュの『Paterson』、アルベルト・セラの『The Death of Louis XIV』がランクインしている。

昨年の首位は侯孝賢の武侠時代劇『黒衣の刺客』で、『キャロル』、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がそれに続いた。

今年の「Sight & Sound」誌のトップ20は以下の通り。
1. 『Toni Erdmann』 マーレン・アーデ / ドイツ・オーストリア
2. 『Moonlight』 バリー・ジェンキンス / アメリカ
3. 『Elle』 ポール・バーホーベン / フランス・ドイツ・ベルギー
4. 『Certain Women』 ケリー・ライヒャルト / アメリカ
5. 『American Honey』 アンドレア・アーノルド / イギリス・アメリカ
6. 『I, Daniel Blake』 ケン・ローチ / イギリス・フランス
7. 『Manchester by the Sea』 ケネス・ローナガン / アメリカ
8. 『Things to Come』 ミア・ハンセン=ラブ / フランス・ドイツ
9. 『Paterson』 ジム・ジャームッシュ / アメリカ・ドイツ
10. 『The Death of Louis XIV』 アルベルト・セラ / フランス・ポルトガル・スペイン
11. 『Personal Shopper』 オリヴィエ・アサイヤス / フランス
=11. 『Sieranevada』 クリスティ・プイウ / ルーマニア
13. 『Fire At Sea』 ジャンフランコ・ロッシ / イタリア
=13. 『Nocturama』 ベルトラン・ボネロ / フランス
=13. 『Julieta』 ペドロ・アルモドバル / スペイン (2016年日本公開)
16. 『La La Land』 デミアン・チャゼル / アメリカ (2017年日本公開)
=16. 『Cameraperson』 カーステン・ジョンソン / アメリカ
18. 『Love & Friendship』 ウィット・スティルマン / アイルランド・フランス・オランダ
19. 『Aquarius』 クレーベル・メンドンサ・フィリョ / フランス・ブラジル
=19. 『Victoria』 セバスティアン・シッパー / ドイツ

http://variety.com/2016/film/awards/toni-erdmann-named-best-film-of-2016-in-sight-sound-poll-1201931663/

原山果歩 World News部門担当。横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程所属。エリック・ロメールを勉強中。


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