10806195_657192617743372_9183436029488668414_nソニー・ピクチャーズが2017年に公開される新作映画『スパイダーマン』に向けてディズニーの所有するマーベルと提携を組んだことを9日、発表した(*1)。1999年にマーベルが700万ドルで権利を売り渡して以来、スパイダーマンのキャラクター権はソニー・ピクチャーズが所有していたが、従来のマーベルに再び権利が戻る形となった。マーベルとの提携後もソニー・ピクチャーズが引き続き配給、資金調達、所有などの最終決定権をもつとのことである。

スパイダーマンという魅惑的な特権を所有しながら前作『アメイジング・スパイダーマン2』では落ち込みをみせてしまったソニーと、最新作『ベイマックス』などヒーロー映画で予期せぬ成功を収めたディズニーのマーベル。本来であれば競合他社である両者の異例のチームアップといえる。
ソニー・ピクチャーズのCEOマイケル・リントン氏は今回の提携について「シリーズにとって、ビジネスにとって、マーベルにとって、ファンにとって正しい決定だ」、ウォルト・ディズニーのCEOボブ・イガー氏は「スパイダーマンは世界中で愛されているマーベルの誇るべきキャラクター。新たな素晴らしい機会となるだろうソニーとの提携に興奮している」とコメントした。マーベル・スタジオのトップ、ケヴィン・フェイジ氏は「我々の参入により、クリエイティブ面における継続性と信頼性をファンの期待通りに届けていきたい」と述べた。

2017年夏に全米公開が決まった両社提携の『スパイダーマン』に合わせ、マーベルは既に4作品の公開日の再調整を行った。2017年7月28日公開予定だった『Thor: Ragnorak(原題)』は同年11月3日に、同年11月3日公開予定だった『Black Panther(原題)』は7月6日公開と前倒しとなった。

マーベル映画として初公開される新作『スパイダーマン』には、『アメイジング・スパイダーマン』『アメイジング・スパイダーマン2』の過去最新2作でスパイダーマン役を演じたアンドリュー・ガーフィールドではない新しいキャストの起用が決定しているとのこと。さらにソニー・ピクチャーズは、2017年の『スパイダーマン』より先駆けて公開されるマーベルの“ある作品”にスパイダーマンが登場するというプレスリリースを発表。両社はその作品名については言及しておらず詳細は未定だが、スパイダーマンが主役を務める『キャプテン・アメリカ/シヴィル・ウォー』、『ドクター・ストレンジ』、ジェームズ・ガン監督の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2』のどれかではないかとファンの間で噂される(*3)。

二束のわらじ状態となったスパイダーマンだが、ソニー・ピクチャーズとマーベルはそれぞれどのように利益分けするのだろうか。Variety(*4)によれば、「マーベルが『キャプテン・アメリカ/シヴィル・ウォー』にスパイダーマンを出演させても権利料を支払わず、『スパイダーマン』から興行収入のパーセンテージも受け取らない」、ソニーも同様に「スパイダーマンが出演したマーベル映画から利益を受けない」とのことで、意外に淡白な関係性といえるかもしれない。権利の枠を超え、より自由に登場してくれるであろうスパイダーマンに期待がかかる。

*1 Spider-Man Returns to Marvel; New Movie Coming in 2017

http://variety.com/2015/film/news/spider-man-marvel-sony-movies-1201429508/

*2 ‘Spider-Man’ Swings to Marvel Studios in Major Sony Partnership
http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/spider-man-swings-marvel-studios-772127?mobile_redirect=false

*3 SPIDER-MAN Swings into the MCU; Will First Appear in a Marvel Movie before New Solo Film
http://collider.com/spider-man-joins-marvel-mcu-movies/

*4 Spider-Man: How Sony, Marvel Will Benefit from Unique Deal (EXCLUSIVE)
http://variety.com/2015/film/news/details-spider-man-appear-in-sony-and-marvel-movies-1201429039/

内山ありさ
World News部門担当。広島出身、早稲田大学政治経済学部5年。第26・27回東京国際映画祭学生応援団。特技はおじさんと仲良くなること、80年代洋楽イントロクイズ。今春から某映画会社就職予定だが、心はインディー。


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