新たにアメリカで映画を学ぶ場所が増えます。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校大学院のMFA(美術学科)に映画専攻のコースが出来ることになりました。「新世代の映画人を輩出している他の大学の流れに参加するべく、サウサンプトン、NYそしてマンハッタンのそれぞれで修士の学位を取れるプログラムになる」(※1)ようです。
今回、この学科が注目されるのは大学院ディレクターとして、インディペンデント系映画プロダクションであるキラーフィルムズの創立者のひとり、クリスティン・バションが任命されたからです。彼女は、『ベルベット・ゴールドマイン』や『エデンより彼方に』、『ボーイズ・ドント・クライ』などで有名なトッド・ ヘインズ監督と組み、多くの映画を世に送り出している名プロデューサーです。他にも多数の映画に関わってきた彼女は、今回の就任演説でこう語ります
「伝統的なフィルムスクールのモデルを再開発しようとすること、そしてそのモデル自体をひっくり返してしまおうとすること、そうしたことを続けるのが私にとってワクワクすることなのです」(※1)
つまり、どういうことか。この新しい映画専攻コースでは、「キラーフィルムズとの共同制作の機会を学生に提供することで、実践と普段の授業を結びつけることを狙ったプログラムを組みます。」(※1)というように、実際のインディペンデント映画の現場に近いところで映画を学ぶモデルを模索していくようなので す。学問の世界、あるいは理論の世界に閉じこもらずに、現場で未来の映画人を育てて行こうという姿勢は、日本ではあまり多くないモデルで新鮮です。
また、彼女は先日ストーニーブルック映画祭で賞を受賞したときには、「自らの豊富な経験を共有するべきであること」(※2)や、「映画祭に限らずソーシャルメディアなどで自分の映画を誰が見てくれるかを知ていくこと、それにより観客を作っていくこと」(※2)、などと重要なことを語っています。また、7月に彼女が指揮を取った20日間で20本の短編映画を20人の学生に撮らせる奨学金の制度なども具体的で面白いです。
クリスティン・バションが担当するのは三年間だけのようですが、彼女がきっかけとなりストーニーブルック大学からどんな映画人が出てくるのか。この大学のことは、頭の片隅においておきたいです。何故なら、面白いひとは何処から出てくるのか分からないと思うからです。
http://www.indiewire.com/…/stony-brook-university-opens-its…(※1)
http://blogs.indiewire.com/…/producer-christine-vachon-to-r…(※2)
三浦 翔
https://twitter.com/eggfalcon3
映画雑誌NOBODY
http://www.nobodymag.com/
横浜国立大学人間文化課程
http://hs.ynu.ac.jp/
(※)来週2/17(火)~2/19(木)の夜に横浜で物理学者寺田寅彦をテーマにしたインスタレーション『寅彦の夜』を発表します。諸事情で詳細を載せられないので、来てくださる方は私にDM下さい。よろしくお願いします。


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