米国の大手インターネット通販サイトAmazonの傘下で、ストリーミング配信向けコンテンツを制作するAmazon Studiosがウディ・アレン監督との契約を発表、TVシリーズの製作をウディ・アレンに委託したことが13日明らかになった(*1)。“Untitled Woody Allen Project”と称される30分間のこのコメディシリーズは、全編ウディ・アレンが監督・脚本を務める。ウディ・アレン監督によるTVシリーズは今回が初めて。キャストなどの詳細は今後発表予定である。

Amazon Studiosは2010年に始動されたコミック、映画、TV番組をオンラインで視聴できるサービスである。作品はAmazon Instant Videoを通じて配信される。
NetfixやHuluといった競合との差別化として、Amazon Studiosが2011年から仕掛けているのが脚本や映画を世界中から投稿できるネット上のスタジオ。“新たな才能の発掘”、“コンテンツ育成の場としてのインターネット”を目指し、自主映画、脚本、絵コンテ、企画を誰でも無料で投稿できるというシステムだ。優秀作品には賞金が贈られるだけでなく、コンテストで選ばれた優秀作品はAmazon Studiosのパートナーであるワーナー・ブラザーズが優先的に権利獲得することができ、実際の作品製作・公開に漕ぎつければ報奨金が与えられ、無名の脚本家・制作者にとっても大きな機会となる。2013年には映画制作者を支援する無料オンラインツール“Amazon Storyteller”を発表。脚本をスキャンしてアップロードすることで、シーンやロケ地、登場人物を背景説明から認識し、数千用意してある人物設定や小道具、舞台の中からキャスティングしてくれる。脚本を映像がイメージしやすい絵コンテに落とし込み、絵コンテを共有して利用者の意見を聞くこともできるサービスだ。

圧倒的な知名度とインターネットというコンテンツ共有の場を利用して自社製作に本格化しはじめたAmazon Studios。2013年にはオリジナルドラマ4本の制作も行った。今回のウディ・アレン監督との契約からも、自社コンテンツ制作にさらに力を入れていることは明白だ。
Amazon Studiosのトップ、ロイ・プライス氏は「ウディ・アレンはいつの時代も優れた作品を生み出してきたクリエイター。『アニー・ホール』から『ブルージャスミン』まで、アメリカ映画の最先端であり続けている。彼の初TVシリーズを共に手掛けることができて光栄だ」と述べる。肝心のウディ・アレンは「どうやっていいのか分からないよ。見当もつかないしどこから始めればいいのか分からない。ロイが僕と組んだことを後悔しないかどうかが心配だね」とコメントした。

記事・内山ありさ(早稲田大学)

*1
Amazon Signs Woody Allen to Create His First Television Series
http://www.comingsoon.net/tv/news/398951-amazon-signs-woody-allen-to-create-his-first-television-series

Woody Allen to Write and Direct His First TV Series at Amazon
http://www.indiewire.com/article/woody-allen-to-write-and-direct-his-first-tv-series-at-amazon-20150113

参考
http://www.excite.co.jp/News/cinema/20101118/Hollywoodch_20101118_0301.html

http://jp.wsj.com/articles/SB10001424127887323614804578532573120295256


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