[395]「太陽の子」〜マイノリティの目線から問いかける〜


2001年「シーディンの夏」で台湾金馬奨短編賞を受賞した、鄭有傑(チェン・ヨウチェ)監督による本作は、
アミ族と呼ばれる原住民族がリゾート開発によって奪われかけた土地を守る話である。
2014年のひまわり学生運動を主人公でジャーナリストのパナイが取材をするシーンが盛り込まれており、
ドキュメンタリー色の濃い作品となっている。

それもそのはず、本作は共同監督に勒嘎·舒米 (レカル・スミ)の名前が並んでおり、彼が育った港口の街で稲作を蘇らせようと奮闘する母親を撮ったドキュメンタリー作品「海稲的願望」が元になっている からだ。上下40分の作品に私たちが知らない東側の台湾の魅力や問題が描かれている。

6月10から3日間 の日程で行われた”Vancouver Taiwanese Film Festival”は開催10年目のアニバーサリーイヤーであり、「太陽の子」は”PANAY:CHILDREN OF THE SUN”と改題され公開された。カナダにアジアの人々が多いことはよく知られているが、台湾の映画にフォーカスした映画祭が毎年開かれており、上映機会に恵まれない作品もラインナップされていることには驚いた。

本作では、漢人(中国本土から来た人)-パンツァ(アミ族の一人 称)という対立構造がとられており、資本に逼迫する「原住民の権利」が扱われている。昨年公開されたにもかかわらず、各国で有志の上映会が開かれており、 ワシントン大学の上映会では主役の阿洛‧卡力亭‧巴奇辣(アド・カリティン・パシダル)が参加したという話だ。

鄭有傑監督の作品は「シーディンの夏」以降、順調に公開がされてきた。アーティストの高野寛が音楽監督を務めた「シーディンの夏」はユーロスペースで。長編映画デビュー作「一年之初」はシネマートから全国へ。「ヤンヤン〜陽陽」は推手計畫 Pushing Hands Projectでアン・リー監督のお墨付きをうけた。
本作のロードショーは決まっていない。6/24には、台湾映画同好会(台灣電影同好會)とジャーナリスト野嶋剛さん主催で鄭有傑監督を招いた上映会が行われた。配給会社によるアプローチが来ない為に手弁当で翻訳と公開をしているのだという。

また、舒米恩による主題歌『不要放棄』が先日開催された台湾金曲奨で最優秀歌曲賞にノミネートされた。中国語、台湾語、客家語、先住民族語と言葉により部門が分けられている中、異例のことに、注目が高まっている。
Youtubeオフィシャルで聴くことができるので、この美しい音楽を一度聴いて欲しいと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=gzuEvkk-eg8


【参考URL】
http://www.hollywoodreporter.com/・・・/wawa-no-cidal-taipei・・・
http://www.ubcle.com/TWFF2016/home.html
https://www.eventbrite.com/・・・/movie-screening-wawa-no・・・

伊藤ゆうと
イベ ント部門担当。小さなラジオ局で働く平成5年生まれ。趣味はバスケ、自転車。(残念ながら閉館した)”藤沢オデヲン座”で「恋愛小説家」を見たのを契機に 以後は貪るように映画を観る。脚本と執筆の勉強中。


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