[369]映画を楽しむビデオエッセイ


先日、インターネット上で人気のビデオエッセイ・シリーズ『Every Frame a painting』の新作『How Does An Editor Think and Feel?』が発表された。
このシリーズは、毎回映画に関する一つのテーマについて様々な映画のシーンの抜粋を提示しながら、作者が分析・解説をしていく、というものである。
作者のトニー・シュウ氏はバンクーバーを拠点に活動する映画作家、映画編集者である。2014年からビデオエッセイ・シリーズの制作を始め、およそ2ヶ月おきに新作をYouTubeやvimeo上で発表している。過去にはバスター・キートンやジャッキー・チェンのアクション映画、デヴィット・フィンチャー作品などについても取り扱っている。(シリーズの一つである黒澤明作品における”動き”を分析したものは日本語字幕付きで配信され、日本でも話題となった。)
新作の『How Does An Editor Think and Feel?』では、映画の編集者として仕事をしているシュウ氏自身が常に感じているという”映画の編集者たちは、どのようにして編集のタイミングを決めているのか?”という問いに対し、それは直感でしかない、としながらも、では映画の編集者は編集の際に何を感じているのか、というテーマで『花様年華』『ハンナとその姉妹』などの抜粋を用いながら展開していく。
ビデオエッセイ制作のための資金を募るサイトによると、シュウ氏はビデオエッセイを作る理由について、『もしも映画が言葉のようなものであるならば、そこには語彙や文法があるでしょう。映画における構図、ライティング、編集、色彩、間、動き、そして音楽は、すべて様式として目に見えるものになっているのです。(中略)このビデオはあなたにとって、また私にとっても、映画をより芸術的に読み解くための手助けとなるでしょう』と書いている。

『How Does an Editor Think and Feel?』より抜粋

『How Does an Editor Think and Feel?』より抜粋

シュウ氏以外にも、インターネット上に映画を取り扱ったビデオエッセイを投稿し話題となった作家は数多くいる。その一人であるジェイコブ・T・スウィニー氏は、vimeoに動画を投稿することで、有名になった人物だ。
スウィニー氏は、先月開催されていたトライベッカ映画祭のTRIBECA N.O.W部門に6分間ほどのビデオエッセイ『100years/100shots』を出品した。このTRIBECA N.O.W(New Online Work)部門は、インターネット上を主な活躍の場としている映像作家の作品を上映する部門である。
『100years/100shots』は、100年以上に渡る映画の歴史の中で、名作として愛される映画の、誰もが知っているような有名なシーンの抜粋を集めたビデオエッセイである。この作品についてスウィニー氏は次のように書いている。
『これら数多くのシーンは、どれもその素晴らしさによって映画史を象徴するような、有名なものばかりです。例えば、いくつかのシーンは映画の表現における先駆けであるし、そのジャンルの代表的なものでもあるでしょう。(中略)しかし、何よりも私はこのビデオが、なぜ映画がこんなにも人々に愛されるものなのか思い出させるものであってほしい』

インターネットの発達により映画を液晶画面でいつでも楽しめるようになったことや、YouTubeやvimeoといった動画投稿サイトの持つ便利さが、映画のあり方を一変させたことは言うまでもない。しかし、そうした手軽さが映画を愛する作家の表現を生み、またそれが多くの人々の間で共有されているのも事実だろう。
彼らの作品、映画に対しての視点に注目してみると、新たな発見があるかもしれない。

参照
http://www.indiewire.com/article/every-frame-a-painting-video-essay-film-editors-think-feel-tony-zhou
https://www.youtube.com/user/everyframeapainting
https://www.patreon.com/everyframeapainting?ty=h
https://tribecafilm.com/filmguide/tribeca-now-screening-short-form-online-work-2016
http://filmmakermagazine.com/98181-watch-100-years-shots-official-selection-of-tribeca-2016/#.VzrOoJFWBit

吉田晴妃
現在大学生。英語と映画は勉強中。映画を観ているときの、未知の場所に行ったような感じが好きです。映画の保存に興味があります。


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