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近年、デジタル化や大きな環境の変化に伴い映画館、主にミニシアターの閉館が相次いでいる。日本のみならず、アメリカなどでも地域に密着し長年続いていた映画館などが経営困難や行政による再開発に伴い閉館に追いやられている。

だがしかし、そんな荒波の中でも急成長している新しい形の映画館が今夏、ニューヨーク・ブルックリンに新たな映画館をオープン予定なのだ。(*1) アメリカのインディ映画界で名前が知られることからはじまったのはAlamo Drafthouse Cinema。1997年、オースティン・テキサス州でビールと食事と共に映画を楽しみたいというリーグ夫婦が名画座のように旧作を上映する形ではじまった。その試みはすぐにリチャード・リンクレイター監督(『ビフォア・サンライズ』『6才のボクが、大人になるまで。』等)や映画評論家のハリー・ノウルズ(http://www.aintitcool.com/)の目にとまり彼らからの注目によってテキサス州のシネフィルたちの集う場所となる。

1年後にはインディ映画のプレミア上映や映画監督へのインタビュー、映画のロケーションでの野外上映を開催するなど一気にその活動の幅を広げていった。クエンティン・タランティーノ監督は5日間にわたる自分の映画コレクション上映マラソンをこの映画館で実施したという有名な話がある。現在ではこれからオープンするものも含めアメリカ全土に30館ほどある。

シアター内を眺めるとすぐにその違いに気づくだろう。客席の前には横長に伸びた机が設置されている。(これは映画館によって異なる)観客は45分前から案内が始まり、座ってメニューを決め、オーダーを用意されたカードに書いて机の前方にある隙間に立てる。それをウェイターが回収しまるで忍者のように!影の間をぬって静かに食事を客席まで運んでくる。上映中のオーダーも可能だ。メニューも豊富で、ピザやサラダ、ハンバーガー、サンドイッチからお酒やスナック、デザートまで何でも揃っている。地域によってもメニューが異なり、地元密着型でローカルブランドを積極的に取り入れている。(テキサス州オースティンのメニュー:https://drafthouse.com/austin/food-and-drink/menus)(*2)

上映ジャンルも幅広く、現在日本でも上映中の『バットマンVSスーパーマン』などのブロックバスターから、サンダンス映画祭やトロント国際映画祭受賞作などのインディラインナップに加え、旧作品をテーマに合わせて上映している。例えば、AFTERNOON TEAとい特集を組み歴史・伝記的映画の上映やお泊まり会をイメージしたGIRLIE NIGHTTOUGH GUY CINEMAと称したアクション全開特集などあらゆる映画を愛するすべての人たちへ向けた映画館だ。

他にもティーン向けの割引プログラムを実施、映画好き大人たちが集まるキャンプ開催、映画の勝ち残り戦、上映作品特別メニュー企画や名作映画とコメディのコラボレーションなど、その活動はどこまでも広がっていく。

フランチャイズであるという点も特徴的でダイナースタイルの映画館であるコンセプトを軸にオーナーの映画愛溢れるオリジナルな館内やプログラムが組まれる。新しくオマハにオープン予定のこの映画館はスターウォーズファンが大興奮すること間違いなしだ。(*3)

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創業者であるティム・リーグはこの映画館をはじめた当初について「映画ファンによる映画ファンのための映画館を作りたい。自分たちには映画が好きということ以外に何もなかった」と述べている。たった二人から始まったシンプルな思い、「ただ映画が好き」というそれだけで、ここまで大きくなっていくのには彼らの熱意と共にそれに共感する人々が手を伸ばしやすいという環境が大きいのかもしれない。

(*1)http://www.indiewire.com/article/alamo-drafthouse-brooklyn-location-new-york-city–summer-2016-20160405?utm_content=buffer8b9b8&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

(*2)https://drafthouse.com

(*3)http://s3.drafthouse.com/pages/Alamo_FJI_Feb16_016-029.pdf

mugiho
早稲田大学在学中。
日本国内を南から北へ、そして南半球の国を行き来していまはとりあえず東京に落ち着いています。ただただ映画・活字・音楽・書くことが好きな人間です。物語を語るということが好きなものにすべて共通していて映画もそこに一番惹かれます。


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