革命前のイランが見えてくるー映画と女性2
(1960年代後期〜1970年代初頭)
8月26日に投稿した[World News #082]の第二弾です!
第一弾をまだお読みでない方はこちらからどうぞ:
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1979年に勃発したイランイスラム革命、この革命によって政権交代がなされた他、国が掲げるイデオロギーも一変しました。[World News #082]でもお伝えした通り、今のイランしか知らない人は革命前のイランを見て驚く事間違えありません。[World News #082]ではイラン映画におけるイラン人女性1950年代後期〜1960年代前期を取り上げましたが、今回は革命直前にあたる1960年代後期〜1970年代初頭におけるイラン映画と女性、主にアイドル的存在であった映画の女性スターを取り上げたいと思います。本題に入る前にお断りをしておきたい事があります。それは、革命前の方が良かった、もしくは革命後の方が良いと判断することは安易な事ではなく、またこの記事の目的でもありません。
本題の革命前映画と女性スターに移りたいと思います。60年代・70年代日本の女性映画スターといったら誰を思い浮かべるでしょうか?イランでも多くの女性スターが60年代・70年代に注目を集めました。しかし彼女たちスターの多くはイラン国民から幅広く支持を得る事は出来ませんでした。その代表的な理由として考えられるのが、前回の記事([World News #082])でも取り上げた通り保守的国民と革新的国民のギャップ、西洋化を押し付けるパフラヴィー政権(’79年革命前の政権)に反抗をする国民の存在があげられます。
しかし、女性映画スターForoozanは違いました。彼女は伝統的で清純な女性と革新的で自由で自立した女性の間をバランスよく行き来し、幅広く支持されました。娯楽映画に多く出演していたForoozanですが、1975年にDariush Mehrjui監督の社会派映画『The Cycle』への出演を切っ掛けに彼女の女優としての地位がイラン国内外に認められる事となりました。『The Cycle』はイラン映画初めてのアカデミー賞外国語映画賞(第50回)出品作ですが、当時のイラン国内の貧困問題(貧困層による違法売血)を取り上げた映画であることから1975年の制作から3年間1978年(イランイスラム革命の一年前!)まで一般公開が許可されませんでした。イラン国内の公開に先駆けてアカデミー賞やベルリン国際映画祭をはじめとするイラン国外の映画祭での上映、また娯楽映画のスターForoozanの社会派映画への出演が当時イランではスキャンダルになりました。
もう一人この時代に人気を集めたのがZari Khoshkamです。イラン映画が少しでも好きな方はZari Khoshkamの娘さんを知っています!第61回ベルリン国際映画祭にて女優賞を受賞した映画『別離』の主演女優レイラ・ハタミのお母さんです。Zari Khoshkamはレイラ・ハタミの父親であり映画監督のAli Hatamiと結婚するまでセックスシンボルとして人気を集めていたのです。『川の向こうの小屋』(1971)でデビューしたZari Khoshkamは次々と性的描写の多い作品に出演し注目を集めました。’79革命後、彼女は名前を宗教色の強いZahraに改名しAli Hatamiの妻として生まれ変わりました。また彼女は夫Ali Hatami制作で革命後間もなくスタートし8年間続いたドラマ『Hezar Dastan』にZahra Khoshkamとして出演します。余談ですが革命後8年間とはちょうどイランイラク戦争の期間と重なりますね。
Zari Khoshkamの様に革命前と革命後、名前さらには人格を変えて活動し続ける女優は少なくありませんでしたが、中には革命前の活動がイスラム教道徳に反していると革命後の政権に逮捕された人もいました。
[World News #082] 『The Cycle』(英語字幕つき)

『川の向こうの小屋』

『Hezar Dastan』

『別離』
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by Sevin
アートな中東
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