[315]名誉金熊賞 ファスビンダーの撮影監督、バルハウスへ

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ファスビンダーの撮影監督として知られるミヒャエル・バルハウスが、2016年度のベルリナーレで名誉金熊賞を得ることが明らかとなった。
バルハウスは国際的に有名な撮影監督だ。25年間にわたるアメリカでの成功の前に、彼はドイツでも大成功をおさめていた。ファスビンダーなど、ドイツの若い作家たちによる自由な映画製作を学んだ彼だからこそ、のちにスコセッシなどハリウッドの監督たちの大胆な画作りに応えられたのだ。
ベルリナーレのディレクターであるディーター・コスリックは以下のように語る。
「私どもはカメラマンとしてのバルハウスに栄誉を与える。彼は様々な監督のパートナーとして寄り添い、130本以上にのぼる映画やドラマ作品を作り上げてきた。ファスビンダーとの仕事は15本、スコセッシとの仕事も7本にのぼる。そのほか、リリエンタールやペーターゼン、シュレンドルフ、コッポラなど、国内外にわたる大監督たちを軽やかに渡り歩き、仕事をしてきた。」
 バルハウスのキャリアは舞台写真家とテレビのカメラマンとして始まった。テレビカメラマンだった彼は、テレビ映画を大量に制作していたファスビンダーと出会い、74年に伝説的な「720°回転」の技法を用いた美麗な映画、『マルタ』を製作する。サドマゾ的な結婚を描くこの作品を、バルハウスの魔術的なカメラが追い、華美ともなりかねない照明がそれを照らし出した。
 その後、彼のキャリアは国際的なものへとなっていく。
1986年、『ハスラー2』で2回目のタッグを組んだスコセッシとは、この作品でベルリナーレのコンペ部門に突撃した。1989年に撮影監督した『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』では、アカデミー賞の撮影監督賞にノミネートされた。
90年代には、『グッドフェローズ』(90)など多くのハリウッドの作品で撮影監督を務め、とくにスコセッシとのコンビは世界的にも広く評価された。
これまでもベルリナーレではバルハウスをゲストに招くことが多く、今回の受賞につながった。
ベルリナーレでは、ファスビンダーの『マルタ』など、バルハウスによる10本の作品が上映されるほか、ジム・レイクト(ドイツの著名な写真家)とバルハウスによるトークも予定されている。(*1)
また、来年度のベルリン国際映画祭では、フリッツ・ラングの『死滅の谷』(1921)のデジタルリマスター版が公開されることも明らかになっている。いつも以上に、ドイツ映画の歴史を堪能することのできる2週間となりそうだ。(*2)

(*1)Filmportal.de
(*2)Filmportal.de

藤原理子
World News 部門担当。上智大学外国語学部ドイツ語学科4年、研究分野はクリストフ・シュリンゲンズィーフのインスタレーションなどドイツのメディア・アート。上智大学ヨーロッパ研究所「映像ゼミナール2014」企画運営。ファスビンダーの『マルタ』のような結婚生活をおくることを日々夢見ております。


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