[306]巨匠ペーターゼン 27年ぶりに故郷、ドイツで製作

『U・ボート』や『ネバー・エンディング・ストーリー』などの監督として知られるヴォルフガング・ペーターゼンが再びドイツ、ベルリンでメガホンを取ることが明らかになった。新作はコメディーで、彼自身が1976年に撮ったテレビ映画、”Vier gegen die Bank”(直訳で『銀行対4人の野郎』)のリメイクのようだ。(※1)
 資本はワーナーブラザーズとヘリンガー/ドールである。(※2)

ペーターゼンの最後の作品は今のところ、2006年のスリラー、『ポセイドン』である。

 74歳の巨匠の新作のキャストには、ティル・シュヴァイガーやマティアス・シュヴァイクホーファー、ミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ、ヤン・ヨーゼフ・リーファースなど国際的に活躍するドイツの人気スターが並ぶ。ペーターゼンはこれが最後の作品になることはないと語り、またハリウッドに挑戦したいとの野望も口にした。
 
 物語は4人の落伍者が銀行強盗をはたらこうとするという筋だ。シュヴァイガーがボクサーの物語を、リーファースがやつれた俳優を、シュヴァイクホーファーは怒りっぽい宣伝屋を、ヘルビヒは神経質な資産アドバイザーを演じる。ペーターゼンがコメディ映画を製作するのは初めての試みだ。

 映画は11月の終わりからベルリンで撮影される。ペーターゼンはこの映画で寒いベルリンの冬を温め、ドイツ語圏の文化を再び盛り上げたいという野望を語る。低予算だが、熱のこもった作品になりそうだ。

 ペーターゼンのキャリアはドイツの人気テレビシリーズである”Tatort”からはじまった。ハリウッドにいった彼は、『Uボート』(81)でその年のオスカーの6部門にノミネートされ、そのあとはハリウッドの監督として活躍した。
 彼の撮影には、進行をスムーズにする秘密のアイテムがあるという。それは撮影中に出される「11時のスープ」だそうだ。朝食と昼食の間に出される11時のスープのおかげで俳優たちも思う存分働けるのだという。

(※1)フランクフルター・アルゲマイネ誌

(※2)Filmstars.de

藤原理子
World News 部門担当。上智大学外国語学部ドイツ語学科4年、研究分野はクリストフ・シュリンゲンズィーフのインスタレーションなどドイツのメディア・アート。上智大学ヨーロッパ研究所「映像ゼミナール2014」企画運営。ファスビンダーの『マルタ』のような結婚生活をおくることを日々夢見ております。


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