先日の投稿で、映画業界は非常に男性中心の社会であるということを書きました(Word News #026 *1)。本日は特に女性の側から、この問題について考えたいと思います。

まずは、驚きのデータをひとつ。2009年から2013年までの5年間で、6大ハリウッドメジャー(Warner Bros. , Universal, Walt Disney, Sony, 20th Century Fox, Paramount)から世に出た作品は466本です。ではこの466本のうち、女性が監督した作品は何本でしょう?答えはなんと、22本です。もう一度言います。5年間で、22本です。比率にすると、全体のわずか4.2%ということになります。(*2)

これは女である私にとって、ものすごくショッキングな数字でした。あまりにも少ないとおもいませんか?また、この5年の間に映画を2本撮った女性監督は、Anne Fetcher 1人だそうです。女性の監督がやっとメジャーで作品を撮れたとしても、なかなか次回作に結びつかず、監督としてそこに根付くことは非常に難しかった、ということになります。女性にとって極めて映画を撮りづらい状況であると言えます。

また、こんなデータもあります。2013年の興収ランキング100本において、女性が主人公の映画はわずか16本です。(*3)

女性の映画は観客ウケが悪いのでしょうか? いえ、興収に関しては、男性主人公の映画よりも女性主人公の映画の方が、平均すると20%も高いのです。 『マン・オブ・スティール』や『ホビット 竜に奪われた王国』のように、莫大な予算をかけて撮り、爆発的にヒットした作品と照らし合わせて見ても、平均して悪くない数字です。女性の映画は、かかった製作費から考えるとコスト・パフォーマンスがいいと言えます。

女性を主人公に据えた女性の映画を撮るのは、撮る側からしても決して悪いことでないのだけど、単にハリウッドの96%を占める男性監督ら(または、確実に大半を男性が占めている脚本家ら)の想像の及ぶのが男性の事ばかりである、ということがあって、習慣的にずっと女性についての映画を撮ってこなかった、撮れなかったのだと思います。

近年の日本では、『ニシノユキヒコの恋と冒険』で注目を浴びた井口奈己さん、有望な若手監督として評価の高い瀬田なつきさん、カンヌに出品した『二つ目の窓』で話題になった河瀨直美さんなどの女性監督の活躍がみられます。ですが、やはりメジャーというよりは、インディペンデント系の監督に分類されるでしょう。ハリウッドほどではないかもしれないけれど、同じ問題を抱えていると言えるでしょう。

ハリウッドや日本がこのような状況である一方で、女性による女性の映画が注目を集めている国もあります。フランスです。日本でも近年のフランス女性映画監督が「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」として紹介されました。

フランスは、女性の社会進出が進んでいます。フランス内閣には「女の権利省」という機関が存在。また、国会議員を男女同数にしましょう、という動きがあって、法律で規定しています。さらにこの法律は企業の管理職にも影響していて、実際、徐々に増えているそうです。子育てをしながらバリバリ仕事をするのも、フランスではふつうのこと。(*4)
この雰囲気はここ最近のものではなく、かつ映画界にも影響しています。これが60年代のアニエス・ヴァルダに映画を撮らせ、そして現在ミア・ハンセンラヴまで受け継がれているのです。確かにフランスが生んだ女性監督は、非常に生き生きと映画を撮っていますよね。

現在相当数の才能が埋もれていると思われる女性監督たち。アメリカや日本やいろんな国で、もし映画界が停滞を見せているとすれば、ここを見直す必要があるのではないでしょうか。

映画の未来は、女性にあり。今後の発展に期待します。

則定彩香

*1
https://m.facebook.com/photo.php?fbid=511170435678925&id=483778145084821&set=a.491153117680657.1073741828.483778145084821

*2
http://blogs.indiewire.com/womenandhollywood/infographic-women-directors-in-the-studio-system

*3
http://blogs.indiewire.com/womenandhollywood/suck-it-haters-female-led-films-make-more-money

*4
https://www.tokyo-woman.net/theme145.html

桃まつり 公式HP
http://www.momomatsuri.com/


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